資金逃避先から、投機対象に変わった日本

円安と株高は、国際的投機によって生じた

東京証券取引所の「投資部門別売買状況」によると、13年6月の東証1部の株式売買で、海外投資家のシェアは、買いで67.6%、売りで68.4%だった。このように大きなシェアを占める投資主体の売買動向は、株価に大きな影響を与える。

「海外投資家」が具体的にどのような投資主体であるかは、統計からは直接には分からない。ただし、これだけの額の取引が短期のうちに増えたことを考えると、個人投資家とは考えにくい。これは、ヘッジファンドや機関投資家だろう。

外国人投資家のウエートの高まりは、日本の株式市場のボラティリティを高めた。短期的売買益が目的だから、当然のことだ。したがって、株価は上昇一本やりでなく、激しく変動する。

実際、5月には、非居住者の株式売却が急増した。グロスの月間売却額は、46兆円と巨額だった。これが、5月23日の暴落の原因だ。

日本への投資がリスクオンに

株式はリスクのある資産だが、債券(日本国債)は、満期まで保有すれば額面通りの償還が得られるので、安全な投資対象だ。これは、国際的投機資金のリスクオフ投資の対象となってきた。

07年の米国金融危機以降、日本の短期債に対する投資(図灰線)が増えた。07年までは移動平均で月間流入額は4兆円程度だったが、08年の後半以降は月間10兆~12兆円程度になった。さらに11年頃からは、ユーロ危機の影響で日本の短期債への投資が増え、12年には月間15兆円程度になった。このために円高が進行したのだ。また、日本の低金利は、こうした資金の流入によって支えられてきた。これが逆流すると、金利が上昇する危険がある。

ところが、短期債投資は、12年9月に15兆円程度で頭打ちになった。減っているわけではないが、顕著な増加傾向は示さなくなった。10月にはネットでマイナスとなった。

中長期債は、移動平均で見ると、12年1月以降継続して売り越しだ。これが、5月中旬の中長期債利回り急騰につながっているのかもしれない。ただし売り越しの額は、株式の買い越しに比べるとずっと少ない。

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