前回、次の三つのことを述べた。
(1)日本の短期国債に対する海外からのネット投資が、3カ月移動平均で見て、2012年9月に15兆円程度で頭打ちになった。これが円高圧力を軽減した。
(2)それを受けて、円安に向かって投機が発生し、円安が進行した。これが株価上昇の期待を高めた。
(3)非居住者のネットの株式投資は、12年10月以降は継続的にプラスになり、12月からは、毎月1兆円を超えるプラスになった。3カ月移動平均で見ると、4月にはネットの投資額は3兆円を超えた。これが株価上昇の直接的な原因となった。
以下では、投資動向を投資形態別・地域別に見ることによって、以上のプロセスの詳細を解明しよう。なお、以下では、前回と同じように、3カ月移動平均(該当月と前後1カ月の平均)で見ることとする。
図に示すように、短期債のネット投資は、欧州からも英国からも、10年初め頃から増え始めた。これは、ユーロ危機によって欧州国債から逃避した資金の「リスクオフ」行動の結果だったと考えられる(ギリシャ危機の端緒は、10年1月)。
欧州、英国からのネット投資は、11年8月頃がピークになった。ピーク時のネット投資額は、欧州5兆円、英国6.8兆円だった。全世界からのネット投資が2.8兆円だったので、英国のウエートの高さが分かる。
欧州の中で額が大きい国は、英国とルクセンブルクだ。ただし、最終的な資金運用者は、英国やルクセンブルクの居住者とは限らない。両国とも国際金融センターとなっており、オイルマネーなどの運用を行っている。また、中国など新興国のソブリンウエルスファンドなども、これらの国の運用会社が運用していると言われる。英国やルクセンブルクからの投資は、こうした性格の資金だ。
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