マイナス成長脱した、欧州景気の持続力は? 景気・経済観測(欧州)
14日に発表された4~6月期のユーロ圏の実質GDP成長率の速報値は、前期比プラス0.3%、同年率プラス1.1%と7四半期振りのプラス成長に復帰した。需要項目別の詳しい内訳は、9月4日発表の改定値を待たなければならないが、内訳を公表済みの国別統計から見ると、個人消費や輸出が成長を牽引したもようだ。欧州債務危機が小康を保つ中、欧州を取り巻くもうひとつの懸念材料である景気の冷え込みにも歯止めがかかってきた。
ただ、4~6月期の成長率は天候要因に支えられた面もある。1~3月期に記録的な寒波が欧州の北部地域を襲い、ドイツやフランスなどでは建設活動が下押しされていた。4~6月期はその反動で景気が押し上げられたもようだ。また、季節はずれの気温低下が続いたことで燃料需要が好調で、個人消費を押し上げた。
ドイツの実質GDP成長率は、前期比プラス0.7%と前期の同横ばいから加速し、2012年1~3月期以来の高成長を記録した。フランスの成長率も同プラス0.5%と、過去6四半期続いてきたゼロ近傍の成長から抜け出した。景気の実勢については、やや割り引いてみる必要があろう。
7~9月期は景気回復が持続
明るい兆しもある。債務危機に見舞われた国々の間で、景気の悪化ペースが緩和してきた。スペイン、イタリアなど金融支援下に入った国やその予備軍では、各々7四半期、8四半期連続のマイナス成長を記録したが、いずれもマイナス幅が縮小した。ポルトガルは12四半期振りにプラス成長に復帰した。なお、ギリシャの最新計数は前年同期比の成長率のみ公表されており、20四半期連続の前年割れとなったが、マイナス幅は縮小傾向にある。
危機国の多くでは賃上げ率の抑制で、輸出競争力が増している。海外景気の回復が輸出の拡大につながりやすい体質へ、強化が進んでいる。加えて、債務危機に対する過度な悲観論が後退し、家計や企業心理が底打ちしており、内需についても下押し圧力が徐々に弱まってきた。景気の一方向的な落ち込みには歯止めがかかっている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら