デフレ脱却と消費増税、両立の行方 黒田総裁は「物価上昇率は徐々に拡大」と自信
日本銀行は7、8日の金融政策決定会合で、4月に決定めた国債買い入れを通じた大規模な金融緩和の現状維持を全員一致で決めた。日銀は、2年を念頭に2%の物価上昇率を達成する目標を設定しているが、直近6月の消費者物価指数(生鮮食品除く総合指数、コアCPI)は前年同月比でプラス0.4%と1年2カ月ぶりにプラスに転じている。こうした動きを受けて、今回の公表文では「消費者物価の前年比は、プラス幅を次第に拡大していくとみられる」とした。
コアCPIの上昇は電気代やガソリン価格の上昇影響が大きく、賃金上昇が見られない中では、生活コストが上昇しているともいえる。ただ、黒田東彦総裁は「所得から支出という前向きの循環メカニズムが働き始めている」としたうえで、「物価はエネルギー関連の押し上げだけでなく、幅広い品目で改善の動きが見られた。コアコア(食料及びエネルギーを除くCPI)のマイナス幅縮小に現れている」と述べた。これは、6月のコアコアCPIが前年同月比でマイナス0.2%と、今年2月のマイナス0.9%からマイナス幅が徐々に縮小していることを指している。
増税とデフレ脱却の両立を強調
一方、8日に閣議了解された中期財政計画について「2015年までに基礎的財政収支(の赤字の対GDP比を10年度水準から)半減させる目標の中身が具体的に議論されている。政府としてのコミットメントを明らかにしたものと考えている」と評価。2014年4月に予定する消費税率の引き上げに対する最終判断が迫る中、消費増税とデフレ脱却について、黒田総裁は「両立すると思っている」と述べた。
日銀では「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)で、消費税率が14年4月に8%、15年10月に10%へ引き上げられる前提で、政策委員の大勢見通しとして成長率を示している。政策委員見通しの中央値は、13年度がプラス2.8%、14年度が同1.3%、15年度が同1.5%としており、「日本経済は潜在成長率を上回る成長を続けるだろうとみている」(黒田総裁)。
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