インフレ率2%達成難しいが、1%でも重要な変化 クレディ・スイスのプライベートバンキング調査部門責任者に聞く 

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世界経済の行方はどうなるのか、アベノミクスは、今後成功すると見ているのか、日本株へのスタンスは――。クレディ・スイス銀行のプライベート・バンキング部門で、グローバル・フィナンシャルマーケットリサーチの責任者を務める、ナネット・ヘシュラー・フェデルヴ氏に話を聞いた。

ナネット・ヘシュラー・フェデルヴ  Nannette Hechler-Fayd’herbe
クレディ・スイス銀行本店 プライベート・バンキング グローバル・ファイナンシャルマーケット リサーチ・ヘッド クレディ・スイス銀行スイス本店のプライベート・バンキングおよび ウェルス・マネジメント部門のマネージング・ディレクター。世界経済や金融市場の動向に関する調査分析を担当するグローバル・フィナンシャルマーケット・リサーチの責任者として、すべてのアセット・クラスに関する投資機会について助言を行っている。

――世界経済の現状をどう見ていますか。

ひとことでいうと、米国経済の復調が、一段とはっきりしてきたと思います。

住宅価格が上昇し、失業率は徐々に改善しており、個人消費も堅調です。しかも、経済が回復しているのに、インフレの台頭を伴っていないということが、非常に重要です。つまり、FRB(米連邦準備制度理事会)は、依然として、緩和基調を維持する余裕があるということです。

一方、欧州経済も、一時期いわれたようなEUのシステミックリスクがかなり小さくなってきました。

例えば、スペインやポルトガルは労働コストが下落し、競争力が回復しつつあります。欧州経済が回復するまでにはなお時間がかかりそうですが、正しい道を歩んでいると思います。

――アベノミクスについて、どう評価していますか。

日銀の金融政策は、日本経済がデフレから脱却するためには重要な要素であると思います。日銀が大胆な金融緩和を行い実質金利を下げることで、デフレに慣れきった人々の物価に対する考え方を変え、インフレ期待を起こそうとしています。これが成功するかどうかは、消費者や企業経営者が信じて、実際に行動に移す必要性があります。日銀はこれからも、長期にわたって金融緩和を実行する必要があります。

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