デフレ脱却と消費増税、両立の行方 黒田総裁は「物価上昇率は徐々に拡大」と自信

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8日の経済財政諮問会議に内閣府が提出した「中長期の経済財政に関する試算」によると、アベノミクス3本の矢(金融政策、財政政策、成長戦略)の効果が着実に発現した場合を「経済再生ケース」と名付け、消費増税も予定通り行わる前提で、13年度の成長率をプラス2.8%、14年度が同1.0%、15年度が同2.0%と予想している。日銀と内閣府の見通しでは、増税後の反動減が予想される14年度以降に違いが見られる。  

目先のヤマ場は9月下旬から10月上旬

ただし、内閣府の試算資料には、消費税の率引き上げについて、「本年秋に現行法の内容と異なる判断が行われた場合には、本試算も判断の内容に沿って見直す」と記されている。この「本年秋」が大きな焦点だが、経済財政諮問会議後の会見で、甘利明経済再生担当相は、首相が行う消費増税の「最終判断」について、「9月下旬から10月上旬の間だと思う」と具体的な時期を述べた。

今年1月に公表した政府と日銀の共同声明の中で、「(政府は)持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する」と記されている。大きなカギを握る消費増税の実施について、政府はどのような「判断」を下すのか。日銀は10月31日の金融政策決定会合で新たな「展望レポート」を出す。仮に増税のスケジュールが変わっていると、日銀の政策委員は成長率の見通し変更を余儀なくされる。日銀にとって景気と物価の動向のみならず、今まで以上に政府の動向を注意深く見守ることになりそうだ。

井下 健悟 東洋経済 記者

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いのした けんご / Kengo Inoshita

食品、自動車、通信、電力、金融業界の業界担当、東洋経済オンライン編集部、週刊東洋経済編集部などを経て、2023年4月より東洋経済オンライン編集長。

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