欧米が生んだ「インフレ経済学」の正体とは? 「宗教臭さ」さえ感じる、インフレ期待の風潮

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(撮影:尾形 文繁)

現在、アベノミクスが掲げている「インフレ目標」という政策は、インフレ率の目標値を掲げることで「インフレ期待」に働きかけ、経済活動を活性化させることを謳っています。 つまり、「もうすぐ物価が上がるから、いまのうちにお金を使ったほうがいい」「物価上昇に備えて、預金だけではいけない。早く株を買ったほうがいい」などと、人に暗示をかける性格のものです。

「宗教臭さ」さえ感じる、インフレ期待の風潮

「景気の『気』は気持ちの『気』です」などと信じられないようなことを言う経済学者もいますが、日本が本当にインフレになるかは誰にもわかりません。 
 にもかかわらず、株を買ったり消費をするように仕向ける現在の風潮には、「信じる者は救われる」的な、宗教臭さを感じざるを得ません。

ケース・シラー住宅価格指数を発明したイェール大学のシラー教授は、「株の取引をしていない人間も、株高になると景気がよくなったように感じてしまう」と言っています。株を保有している人なら、株高によってたしかに資産が増えます。しかし株を持っていない人には何もメリットはないはずです。にもかかわらず、なぜか力を得たように感じるというのです。

ここにも一種の「暗示」が働いていると言えそうです。

次ページ現在の経済学には、明らかに宗教的な要素がある
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