欧米が生んだ「インフレ経済学」の正体とは? 「宗教臭さ」さえ感じる、インフレ期待の風潮

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プロテスタントの教えでは、神の導きがなく、選択の自由を得たとしても、その選択の責任は自分にあると説かれています。自らの選択によって失敗したら、その罪は自分で贖う──つまり、自己責任だというわけです。

こうした考え方は、プロテスタントである米英人には比較的すんなりと受け入れられるのですが、日本人は自己責任の原則と言われてもピンときません。それは、日本人の多くが無宗教で、自己責任という概念がないからかもしれません。

経済学も、非合理的なもの

宗教的バックグラウンドがある、米欧の経済学者たちが築いてきた経済学に、道徳観や宗教観が反映されているのは無理もないことです。しかし、そうしたベースがない日本の学者が、その理論に染まるのは不思議ですし、それを無理やり日本経済に当てはめようとするのはあまりに不可解です。

経済学は宗教観や道徳観から来ている──そうである以上、経済学は「非合理的なもの」だと言わざるを得ません。物理学や化学には明らかな法則や答えがあり、その法則を曲げるような事象はありません。

しかし経済学などの人文科学・社会科学のジャンルには「100%これが正しい」という法則や答えがない。いろいろな意見があり、どれが正しいのか、神学論争のようなことが起きているのです。

だからこそ、「ノーベル賞経済学者」のような「権威ある人」が言ったことが盲目的に信じられてしまい、たとえそれが間違っていたとしても、そのまま受け継がれていくのです。

中原 圭介 経営コンサルタント、経済アナリスト

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なかはら けいすけ / Keisuke Nakahara

経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。企業・金融機関への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に努めている。経済や経営だけでなく、歴史や哲学、自然科学など、幅広い視点から経済や消費の動向を分析しており、その予測の正確さには定評がある。「もっとも予測が当たる経済アナリスト」として評価が高く、ファンも多い。
主な著書に『AI×人口減少』『これから日本で起こること』(ともに東洋経済新報社)、『日本の国難』『お金の神様』(ともに講談社)、『ビジネスで使える経済予測入門』『シェール革命後の世界勢力図』(ともにダイヤモンド社)などがある。東洋経済オンラインで『中原圭介の未来予想図』、マネー現代で『経済ニュースの正しい読み方』、ヤフーで『経済の視点から日本の将来を考える』を好評連載中。公式サイトはこちら

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