学生時代から「経済学への不信感」があった
――エコノミストでもある中原さんが『日本人は「経済学」にだまされるな!』というタイトルの本を書くというのは、ちょっと意外だという気もしたのですが。
そんなことはありませんよ。確かにこれまで随分と経済の本を書いてきましたが、その中でも経済学のおかしなところをたびたび取り上げてきました。
私は経済アナリストであると同時に、経営のアドバイスをする仕事もしています。
経営者の方たちとお話をし、ビジネスの現場、いわゆる「実体経済」の目線で社会を見ていますから、分析のベースに「経済学」があるというわけではないのです。
経営の現場を見ていると、経済学という学問はまったく役に立たないどころか、むしろ有害でさえあるというのが率直な実感ですね。
――なるほど、学者の語る「経済学」と実務家が見ている「経済」との違いを意識されているわけですね。
実のところ、経済学に対する不信感というのは、若い頃からずっとあったんですよ。それこそ高校の授業で「需要曲線と供給曲線」を習ったときに、「え? これって本当なの?」「何かおかしいな……」と思って以来ですね。