アメリカの金融関係者の間では、9月にもQE3(量的緩和第3弾)の縮小が始まると、まことしやかに言われています。市場関係者の約75%が、9月17、18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で縮小が決定すると予想しています。
この「QE3縮小観測」によって、新興国に流入した大量の資金がアメリカに逆流していて、新興国の通貨安が引き起こされている一因にもなっているわけですが、そのこと自体は、FRBがQE3縮小をやめる判断基準にはなりません。
縮小開始は、早くても2014年前半か
バーナンキFRB議長はかねてより量的緩和の縮小の前提条件を「雇用の持続的な回復が維持できれば」としてきました。たしかに失業率の推移だけを見ていると、QE3の縮小が9月にあってもおかしくはないと思われます。
しかしそれでも私は、「QE3の縮小は早くても2014年前半である」と考えています。理由は二つあります。
一つめは、失業率が低下しているとはいっても、リーマンショック以前と比べると、雇用の質が著しく悪くなっていることです。
リーマンショックがあった2008年秋以降の雇用の実態を見ると、アメリカで失われた雇用900万人のうち、4分の3(75%)が豊かな中間所得層でした。それが13年9月~10月には700万人の雇用が回復すると言われています。ところがその回復した雇用の中身を調べてみると、700万人の半分(50%)は非正規雇用なのです。
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