バーナンキ議長は、9月にQE3縮小をしない 米国の雇用改善は見かけだけ、FRBは実態を知っている

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低水準の労働参加率は、失業率の計算の分母になる労働力人口を減らすため、実態では雇用情勢が改善していないのに、見かけ上の失業率だけが低下してしまいます。

以上の2つの理由については、バーナンキ議長も承知しているはずで、FOMC後の議長の記者会見の中でも一部に、そのエッセンスを読み取ることができる表現が散りばめられています。

バーナンキ議長の本心は、雇用の実態が数字ほどには良くないという事実を踏まえ、「2013年中に緩和を縮小するのは見送りたい」というものではないでしょうか。

とはいっても、他のFRB理事や地区連銀総裁から「早急に緩和を縮小すべき」という発言が相次ぐようになってきており、バーナンキ議長も外堀を埋められつつあるような情勢です。

その意味では、ひょっとしたら、今年の12月にQE3縮小が決定してしまう可能性が少しはあるかもしれません。

中原 圭介 経営コンサルタント、経済アナリスト

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なかはら けいすけ / Keisuke Nakahara

経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。企業・金融機関への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に努めている。経済や経営だけでなく、歴史や哲学、自然科学など、幅広い視点から経済や消費の動向を分析しており、その予測の正確さには定評がある。「もっとも予測が当たる経済アナリスト」として評価が高く、ファンも多い。
主な著書に『AI×人口減少』『これから日本で起こること』(ともに東洋経済新報社)、『日本の国難』『お金の神様』(ともに講談社)、『ビジネスで使える経済予測入門』『シェール革命後の世界勢力図』(ともにダイヤモンド社)などがある。東洋経済オンラインで『中原圭介の未来予想図』、マネー現代で『経済ニュースの正しい読み方』、ヤフーで『経済の視点から日本の将来を考える』を好評連載中。公式サイトはこちら

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