マイナス成長脱した、欧州景気の持続力は?

景気・経済観測(欧州)

世界的な銀行規制強化の流れに加えて、来年後半の銀行監督一元化の開始を前に欧州中央銀行(ECB)が銀行の資産状況の精査(アセット・クオリティー・レビュー)を予定しており、銀行は貸し出し増加に慎重だ。欧州では中小企業を中心に間接金融への依存度が高い。大企業はクレジット環境の改善で社債発行などを通じた資金調達が容易になっている。だが、危機国では銀行の貸出金利が高止まりし、金融緩和の効果が浸透していない。

しかも、ECBの追加緩和余地は乏しい。フォワード・ガイダンスの導入や議事録公表など、コミュニケーション戦略の強化で緩和継続を演出する以外に、目立った政策対応は期待できない状況だ。

輸出相手先としては中国よりも米国の影響が大

内需の足取りが緩慢にとどまる中、ユーロ圏の景気回復の持続力は世界景気の動向に左右されやすい脆弱な状況が続くことになろう。この点で注目されるのが、米国の景気回復と中国の景気減速の影響だ。

近年では中国をはじめアジア新興国向けが、ユーロ圏の輸出拡大を牽引してきた。ただ、ユーロ圏の輸出相手国別の構成比をみると、2012年時点で中国向けが6.4%に対し、米国向けが11.9%と約2倍に上る。最近3年間の年率寄与度でも、中国向けのプラス1.1%ポイントに対し、米国向けがプラス1.6%ポイントと上回っている。輸出相手先としての中国の重要度は増しているが、今のところ米国の影響度を凌駕するには至っていない。米国景気の順調な回復が続き、中国景気が一気に冷え込まないかぎりは、輸出の回復基調が大崩れすることはなさそうだ。

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