マイナス成長脱した、欧州景気の持続力は? 景気・経済観測(欧州)

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小康状態にある欧州債務危機の動向からも引き続き目が離せない。イタリアではベルルスコーニ前首相の有罪判決をきっかけに、連立政権内の不協和音が高まっている。スペインではラホイ首相が率いる与党・国民党の不正献金疑惑が再浮上。ポルトガルは来年央の支援プログラム終了後の市場調達への復帰が不安視されている。

ギリシャではいずれ追加の債務軽減措置が必要になるとみてよい。キプロスでは支援プログラムの見直しを求める声が高まっている。9月22日のドイツ連邦議会選挙後に、先送りされていた問題が表面化することを警戒する声も聞かれる。

債務危機をめぐる市場の緊張が高まる局面では、家計・企業の先行き不透明感の高まりで消費・投資活動の抑制に拍車がかかるおそれがあるうえ、銀行の貸し出し抑制姿勢も強まりかねない。年後半は債務危機の封じ込めが続けられるのか、景気が本格回復に移行できるのか、正念場となろう。

田中 理 第一生命経済研究所 主席エコノミスト

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たなか おさむ / Osamu Tanaka

慶応義塾大学卒。青山学院大学修士(経済学)、米バージニア大学修士(経済学・統計学)。日本総合研究所、日本経済研究センター、モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター証券(現モルガン・スタンレーMUFG証券)にて日、米、欧の経済分析を担当。2009年11月から第一生命経済研究所にて主に欧州経済を担当。

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