昨年秋以来の円安と株価上昇は、安倍晋三内閣の金融緩和政策によって引き起こされたと、多くの人が考えている。しかし、これまで述べてきたように、金融緩和政策は機能していない。では、株高や円安はなぜ生じたのか?
それは、日本をめぐる国際的な投機資金の流れが、2012年から変わったからだ。この変化は、国際収支のデータにはっきりと表れている。図に、非居住者(外国人)による対内証券投資等の推移を示す(額の変動が激しいので、図では3カ月の単純移動平均を示した)。
非居住者のネットの株式投資(図赤線)は、それまでマイナスの月もあったのだが、12年10月以降は継続的にプラスになった。そして、12月からは、毎月1兆円を超えるプラスになった(13年2月を除く)。4月には、ネットの投資額は3兆円を超えた。これによって株価が上昇したのである。07年初めにもネット投資額が大きくなったが、月1兆円程度だったので、そのときより多い。
株価に与える外国人投資家の影響が大きいことは、株式市場のデータを見ても分かる。外国人の株式保有比率は12年度で28.0%だが、売買シェアは極めて高い。日本の金融機関や事業会社は株式の持ち合いが多く、頻繁に売買しないのに対して、外国人投資家は、長期安定的な投資ではなく、短期的な売買益を狙った投資であるため、頻繁に売買を繰り返すからだ。
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