母が下した、”英語ゼロ”娘への愛の鉄拳

いざ、シンガポールのインターへ突入せよ!

りりさんは、15歳まで、東京都内の公立小学校・中学校で、日本語による教育を受けてきた。家庭内の会話もすべて日本語で、英語での会話力はほぼ“ゼロ”といっていい状況だった。

パクさん一家が住むのは、都内でも教育熱心な人が住む地域。だが、りりさんは中学受験をせず、地元の公立中学校で学んだ。小学生の頃、中学受験を考え一度は塾に通ったものの「本人があまり受験にモチベーションを感じていなかったので」(パクさん)、塾は辞めてしまった。

その後、りりさんは、都立高校を受験し、第1志望だった都立国際高校に見事に合格している。都立国際高校は、外国語教育や国際理解を重視する教育方針で、帰国子女や都内在住の外国人生徒も多い進学校だ。

りりさんが自分なりに進路の希望を固めていた頃、母親のパクさんは、海外に目を向けていた。「もともと、娘が小学生の頃から、中学を卒業したら留学させようと思っていた」。自身がアメリカに留学していたため、アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリスなど英語圏の留学事情については、ある程度知っていた。でも……、パクさんは考えた。「娘が社会に出る10年後はアジアの時代だ」。

人口やGDPなどを予測した経済指標を見ると、娘のりりさんが大人になる頃に活気があるのは、欧米よりアジアであるのは明らかだった。「新興国の若者が持つチャレンジ精神に触れてほしい。何より、これから活躍する人々が話す、北京語を身に付けてほしい」。そう考えたパクさんは、治安や医療など娘が生活するうえで必要なインフラと教育レベルを考え、シンガポールにターゲットを絞った。

「欧米で流暢な英語を身に付けるより、多少ブロークンでも、英語も北京語も身に付く方が、将来の強みになると思ったんです。そしてシンガポールは教育の質が高い」とパクさんは振り返る。

第1志望の都立高校に行く気満々で猛勉強していたりりさんだが、母が勧めるシンガポールの高校の入学試験準備も、一応、並行して行っていた。小学生の頃から母親に「中学を卒業したら留学」と言われていたので、海外の高校に入るための勉強に抵抗感はなかった。結局、りりさんは、母が薦めるシンガポールのインターへ進学しようと決める。パクさんは「中学・高校の留学は、親の意思で決まるところがかなり大きい」と言う。

りりさんがシンガポールの高校に入るため勉強したのは英語と数学。「ただ、数学は日本の中学で普通にできていれば、後は単語を覚えるだけでした」。一方で英語は大変だった。「公立中学ではできるほうだったけれど、最初は全然、歯が立たなかった」。

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