母が下した、”英語ゼロ”娘への愛の鉄拳 いざ、シンガポールのインターへ突入せよ!

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「最初はショックを受けた」というりりさん。東京の公立中学校なら、転入生が来れば皆で話しかけ、仲間に入りやすいよう気を使う。ところが、転校も転入も頻繁なインターナショナルスクールでは、そういう気づかいが一切、なかったのだ。黙っていたら友達はできないことに、すぐ気づいた。

「『宿題終わった?』とか『昨日何した?』とか、ちょっとしたことでいいので話しかけるようにしました。大事なのはとにかく笑顔。それからあいさつ。下を向かないで、自信を持って堂々と振る舞うこと」。書いてしまえば簡単に思えるが、日本語がまったく通じない空間で、こうして友達を作れるビジネスパーソンは一体、どのくらいいるだろうか。

努力は報われ、台湾、中国、ミャンマー、ベトナム人などの、たくさんの友達ができた。このインタビューの直前も、都内の自宅でスカイプを使い、5人の友人たちと話していた。同じ学年の90人は20カ国から集まっており、大学で世界各地に散っていく。スイス、カナダ、アメリカ、中国、オーストラリア、香港……。「次はどこで会うか考えないといけない」と笑顔で語る。

シンガポールの高校で、娘が苦労しながら勉強し、多様な背景を持つ友人を作ったことに、パクさんはこの留学が娘の人生にとてつもなく大きく収穫となったことを感じている。「受験のためではなく、本当に考えてたくさん書いたことは、すごくよかった」。シンガポールでりりさんが受けた教育と比べたとき、日本に足りないものは何か、と聞くと、問題は英語以外のところにあるという。

日本の公教育を底上げすべき

「よく『子どもをグローバル人材に育てるにはどうしたらいいか』と聞かれますが、そんなことを考えるのは日本人だけ。まず、日本語でちゃんとコミュニケーションできることが大事。あいさつができるとか、自分の考えを論理的に伝えられるようになるのが先です。英語は共通言語ですが、あくまでその次にあること」

パクさんから見て、日本の公教育でいちばん問題なのは「学校で勉強しなさすぎること」。高校受験をしたとき、子どもの塾代に結構な費用がかかったという。学校で勉強しない分、家庭の自己負担で勉強する場を確保しなくてはならなかった。

「うちは何とか払えたけれど、経済的に難しい家庭の子どもは不利になる。こんなところで格差が生まれたら日本社会全体の質を下げ、国際競争力も低下してしまう。政府は子どもたちが塾に行かなくても希望の学校へ合格できるように、公教育を底上げすべきです」。

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