日本は英語以前に「作文教育」をやるべきだ 議論ができれば日本人はもっと活躍できる
前回記事:なぜ日本には「名演説」が存在しないのか?
イェール大で感じた日本との「決定的な違い」
斉藤:これまでの日本の教育にはいろいろ問題がありましたが、改善の動きも出ています。安倍晋三政権が進めてきた改革の1つに英語教育がありますが、2020年をメドに、英語教育で話す・書く能力が要求されるようになります。英語教育はそのように方向性が見えているんですが、そもそも日本語の問題もあって、どこかできちんと論理的な文章を書く作法をトレーニングしないといけないと感じます。
大学でも高校でも、作文の指導をまじめにはやっていません。イェール大学で東アジア専攻の主任をしていたとき、一般教育の全体を取りまとめる担当者と話したことがあります。その人は、大学として作文教育に力を入れているということに非常に強いプライドをもっていました。
ところが、日本の有名大学、有名高校で「わが校の誇りは作文教育です」というところを見たことがありません。これは英語に限ったことではないと思いますが、自分の主張を明確に訴えて論理的に説明する、できればデータを引用するとか根拠をつけて説得力ある文章を書くことは、誰でも身に付けなければならないスキルでしょう。それがどうもなかなか……。