日本は英語以前に「作文教育」をやるべきだ 議論ができれば日本人はもっと活躍できる

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浜田:それから、イギリス英語の勉強をすることです。ヨーロッパ系(オーストラリア、インド)の訛りはみんなイギリス英語(ロンドンの下町コックニー)の訛(なま)りだからです。僕はイギリスで教えてからアメリカに帰ったのですが、おかげでアメリカでのヒアリングはものすごくラクになりました。

斉藤淳氏(撮影:今井康一)

斉藤:非常に実用的なアドバイスですね(笑)。

浜田:イェールの日本語教育もしっかりしていますね。日本語は漢字というバリアはありますが、発音が難しくないですし、他言語に比べて簡単なのかもしれません。

斉藤:イェールの日本語は本当にすごいですよ。

浜田:自然にファーッと話してきますからね。その点は、日本も英語教育はせめて若いうちに発音に対する耳をつくっておくとずいぶんラクになると思います。それからある時期で書く訓練をしないと、商売にはなりません。

斉藤:イェールの日本語の授業は本当に徹底していて、キャンパスで日本語の先生に会うと「○○先生、こんにちは」と言って会釈しないといけないんです。日本の文化、ビヘイビアから言葉に合わせて「○○先生、こんにちは」とお辞儀をしないと減点になるんです(笑)。やはり、言葉は体の動きが連動しないとダメなんですね。

浜田:ハーバードの日本政治の専門家スーザン・ファー先生も、風格、仕草などを見るとまるで大和撫子です。議論などでも、英語をしゃべるからといって日本人としての品性を失うくらいアメリカ風にやる必要はありませんが、その内容は対等にできないと困る。

けんかをしないで議論できる日本人が世界で活躍する

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斉藤:教育はそのためのものです。権威にかさ着て自分の言っていることを暗唱させるために教育しているわけではないのですから。

浜田:日本でも、いろいろなことを批判的に、しかし、けんかをしないでちゃんと議論できる社会が来つつあると思います。もっとも、私がアメリカで唯一英語を褒められたのは、「浜田さんの英語は外国人とけんかができる英語だ」ということでしたが。

斉藤:これまでのおとなしい日本人とは違う、ちょっと変わった生徒が海外に飛躍するための挑戦ができる時代にはなっているので、日本もまだまだ捨てたもんじゃないと僕は思っています。浜田先生ですらいろいろ失敗して挑戦していらっしゃったわけですから、若い子にもめげないで頑張ってほしいですね。

浜田 宏一 イェール大学名誉教授、経済学博士

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はまだ こういち

イェール大学名誉教授。経済学博士。第2次安倍晋三内閣で内閣官房参与。1936年、東京都に生まれる。54年、東京大学法学部に入学し、57年、司法試験第二次試験合格。58年、東京大学経済学部に入学。65年、経済学博士(イェール大学)。69年、東京大学経済学部助教授。81年、東京大学経済学部教授。86年、イェール大学経済学部教授。2001年からは、内閣府経済社会総合研究所長を務めた。国際金融論に対するゲーム理論の応用で世界的な業績をあげ、日本のバブル崩壊後の経済停滞については金融政策の失策がその大きな要因と主張、日本銀行の金融政策を批判してきた。第2次安倍晋三内閣で内閣官房参与として「アベノミクス」の理論的指導者となる。

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斉藤 淳 J Prep斉藤塾代表

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中学・高校生向け英語塾「J Prep斉藤塾」代表。元イェール大学助教授。元衆議院議員。1969年山形県生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業、イェール大学大学院博士課程修了(Ph.D. 政治学)。イェール大学助教授、高麗大学客員教授などを歴任。
2012年、アメリカより帰国し、東京・自由が丘にて英語塾を起業。現在自由が丘、渋谷、山形・酒田にて塾を展開。「自由に生きるための学問」を理念に、第二言語習得法の知見を最大限に活かした効率的なカリキュラムで、生徒たちの英語力を高め続けている。
研究者としての専門分野は日本政治・比較政治経済学。主著『自民党長期政権の政治経済学』で、第54回日経・経済図書文化賞などを受賞。

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