米国で流行「段ボールベビーベッド」は安全か フィンランド式子育ての幻想?
赤ちゃんは段ボール箱の中で眠ったほうがよいのだろうか?
乳児死亡率が世界で最も低い国の1つであるフィンランドの政府は、この何十年もの間、ベビーベッドとして使える段ボール製の箱にベビー用品を詰めて妊婦に支給してきた。そして今、それにならって米国の病院や公的な医療機関が親たちに無料の「ベビーボックス」を提供する動きが広がっている。その目的は、睡眠時の乳児の死亡を減少させることだ。
ニュージャージー州は今年、ベビーボックスを10万5000個支給すると発表。オハイオ州も14万個、アラバマ州も6万個を支給する予定だという。テキサス州でも先日、提携する病院や慈善団体を通じて40万個が支給されることが明らかになった。
これらのベビーボックスには、服やおむつ、授乳パッドなどがベッド用マットと一緒に入れられ、乳児の安全な睡眠の啓蒙活動の一環として親たちに届けられる。
ボックスは乳児にとって安全な睡眠環境なのか?
だがベビーボックスの支給プログラムが州や医療施設の間で急速に広まるなか、一部の専門家からは懸念の声が上がっている。ボックスが乳児にとって安全な睡眠環境であるかや、乳児の死亡率を減らす効果があるかはまだ証明されていないと彼らは主張している。
米国小児科学会(AAP)で乳幼児突然死症候群に関する作業部会を率いているレイチェル・ムーンはベビーボックスについて、「これほど高い関心を集め、人々がこの流行に飛びついていることに非常に驚いている」と言う。「フィンランドでうまくいっているから大丈夫だと思っているのだ」。
バシネット(乳児用ベッド)や囲い付きのベビーベッドなどほかのベビー用品と違い、段ボール製のベビーボックスは米国消費者製品安全委員会(CPSC)の規制を受けておらず、市場に出回っているすべての乳児向け睡眠関連製品に課されている安全基準を満たしているかどうかの検査も行われていない。