宮里藍が6月11日まで行われたサントリーレディスで、たぶん日本で最後の試合を終えた。女子では少ない4日間の大会、平日の木曜日からギャラリーが「最後の雄姿」を見ようと駆け付けたが、筆者は残念ながら週末のテレビ観戦だった。
宮里はまだ「最後の試合」を口にしていない。だが、最終日にテレビインタビューでアナウンサーが先に泣いてしまい「ずるい」といいながら自分も涙を浮かべた。たぶん、日本ではこれが最後の試合なのだろうと思ったのは筆者だけではないだろう。
宮里藍の不思議な「魅力」
宮里が女子プロ界のみならず、ゴルフ界に残した功績は数々あるが、筆者が大きかったと感じているのは、ゴルフを知らない人に「ゴルフを始めさせる力」とゴルフを始めている人に「続けさせる力」を持ち、その力を発揮してきたことだ。
今の若い女子プロは子どものころから宮里を目標にしていたり、宮里を見てゴルフを始めたプロもいる。テレビを見ていたら、まだゴルフを始めていないような小さな子どもが一生懸命に手をたたいていた。この子も「ゴルフをやってみたい」となるのだろうか。
ジュニアゴルフの仕事にかかわっていると、今の小学校高学年から中学生、高校生の中に「テレビで藍ちゃんを見て、自分もゴルフをやってみようと思った」という選手はけっこういる。今後の「第2の人生」が注目されるが、宮里はこうした「魅力」をもっている。今ゴルフ界は「ゴルフ人口の減少」「新規ゴルファーの創出」に悩んでいるが、打ってつけの人材だ。
「ザ・ファースト・ティ(TFT)」という活動をご存じだろうか。言葉通り、子どもたちにゴルフを始めてもらおうという活動で、以前少し紹介したことがある(「ゴルフに夢を見る」親が心得ておきたいこと)が、1997年に米国で始まったゴルフを利用した教育プログラムだ。
「ゴルフを通じて子どもたちの人間形成、人生を豊かにする価値観を育み、将来の人生に影響を与え、健全な判断力を培うこと」を、ミッションとしている。開催拠点は1200カ所、2万人のボランティアと1000人の男女プロゴルファーがかかわり、すでに1220万人以上の子どもたちが参加しているという。
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