日経平均株価なんてさっぱりアテにならない 投資すべき企業は「米中おこぼれ銘柄」だ!

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藤野:四季報って短い記事で要点が書かれていますが、その見出しが面白くて、たった数文字に東洋経済新報社の記者さんの思いが込められています。たとえば「絶好調」って言葉は、業績を表す見出しのなかでも最上級で、3600社ほどあるなかで少数の会社にしかつけられないって話を聞いたことがあります。

中野:ということは、絶好調という見出しがついただけで、その日の株価は上がりそうですね。

藤野:そうなんですよ。だから、四季報の発売日に、深夜営業の書店に行って四季報を買い、絶好調という見出しがついている会社を探して、その日の寄付で株を買うという裏テクニックもあるそうです。

中野:あの短い文章で表現するのも大変なことだと思います。

藤野:まさに「四季報文学」ですよね。

日経平均の2万円の数字自体に意味がない理由

中野:そろそろ本題に入っていきましょうか。日経平均株価が2万円を回復しました。2万円台に乗せたのが2015年4月で、同年8月まで2万円台をキープ、いったん同年の12月に回復しましたがここから失速。2016年2月の安いところでは1万4865円まで下落しました。そこから徐々に回復して、この6月2日に2万円台を回復したというわけです。

渋澤:日経平均株価が2万円に乗せたことで、投資家に対して何かしら心理的な影響を与えるとは思うのですが、数字自体は何の意味もないと思います。

2万円に乗せたといっても、1980年代の平成バブルのピークから見れば、まだ半分程度の水準にすぎません。たとえば1990年代も1992年4月に2万円を割り込んだ後、2万円の回復にチャレンジして成功した後、また2万円を割り込むことを、何度となく繰り返してきました。

しかし、1990年代と今とでは、日経平均株価の構成銘柄自体が大きく違っています。今の日経平均株価に大きな影響を及ぼしている銘柄は、ファーストリテイリングやソフトバンクですが、両銘柄とも1989年の日経平均株価の構成銘柄には、含まれていませんでした。だから、日経平均株価を、連続性のある市場平均と見なすこと自体、おかしな話だと思うのです。

中野:私は「日経平均株価2万円」で騒いでいるマーケット関係者を見ると、とても侘びしさを感じます。セゾン投信が設定・運用しているファンドはグローバルポートフォリオなので、世界の株価をウォッチしているわけですが、他の国では今、株価が歴史的な高値水準にあります。渋澤さんがおっしゃるように、日経平均株価は2万円でも、まだ高値の半分でしかありません。世界の株価はどんどん上伸しているのに、日本は単なる節目でしかありません。

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