なぜ今、「日本のバブル」なのか
現在発売中の『週刊東洋経済』(5月20日号)のメイン特集は「最後の証言 バブル全史」と題して、1980年代後半に起こった日本のバブルを振り返っている。思うに、日本のバブルは、その規模も世界史的レベルであったし、原因・特徴・結果の全てにおいてバブルが備える特徴を全て有していた。投資を考える上でも、経済を理解する上でも、知っておくべき貴重なサンプルである。投資家は、是非、その全貌と本質を理解しておきたい。
株式市場の関係者にとっては、1989年大納会終値の日経平均最高値3万8915円の印象が強烈だ。従って、バブルというと「1989年代末まで」というイメージを持ちがちだ。1990年に入ってから株価が急落し始めて、バブル崩壊がスタートしたが、実は、社会現象としてのバブルはもう2年くらい余韻を保っていた。例えば、かの「ジュリアナ東京」(有名な「ディスコ」。今なら、「クラブ」と呼ぶのだろうが)がスタートしたのは1991年5月のことだった。
最近、バブルの頃を回顧するミニブームが起こっているように見える。國重惇史「住友銀行秘史」(講談社)、横尾宣政「野村證券第2事業法人部」(講談社)のような当事者の証言や、永野健二「バブル」(新潮社)のような当時を知るジャーナリストの振り返りの書籍が、相次いで出版されて、大いに読まれている。著者達にとっては、バブルを巡るエピソードの当事者の多くが、すでに亡くなったり、完全に引退したことなどで、当時のことが書きやすくなった面もあるし、今のうちに記録を残しておかねばならない、といった使命感もあるのだろう。
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