中国が往年のスマホメーカーを飲み込む理由 モトローラ・ブラックベリーも中華スマホだ

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日本でもSIMフリー市場で復活を果たしたモトローラ・モビリティだが、現在はレノボの子会社であり、レノボが主導権を握っている(著者撮影)

「先進国の有名メーカーのブランドを冠しているものの、実はその中身は中華系スマートフォンメーカー」というケースが、最近増えつつある。買収やライセンス契約によって先進国の携帯電話ブランドをうまく活用し、市場開拓を進める中華系スマホメーカーの取り組みから、その狙いを探ってみよう。

昨年、日本のSIMフリー(どの携帯会社の回線でも使える)スマホ市場に本格進出を果たしたことで注目を集めたのが、米国のスマホメーカー「モトローラ・モビリティ」だ。その前身である「モトローラ」は、携帯電話の黎明期から人気を博してきたメーカーの1つで、日本進出も果たし、いくつかの人気モデルも輩出している。

同社が昨年7月、日本のSIMフリースマホ市場向けに投入した「Moto G4 Plus」は、2枚のSIMカード(端末の通信に必要なカード)を挿入し、一方のSIMカードを通話用、もう一方のSIMカードをデータ通信用と使い分けられる機構を搭載。スマホに詳しい先進的なユーザーから高い人気を獲得した。

実はレノボ傘下となっている「モトローラ」

また、昨年9月に投入した「Moto Z」「Moto Z Play」は、背面に専用の部品を装着することで、プロジェクターやスピーカーなどの機能を拡張できることが評判となり、こちらも大きな注目を集めた。販売規模としては中国ファーウェイや台湾ASUSには及ばないものの、個性の強い端末を提供するメーカーとして、市場での注目度は急速に高まっているようだ。

カメラやプロジェクターなどさまざまな種類の「Moto Mods」を装着することで、機能を拡張できる「Moto Z」シリーズは、ユニークさから注目を集めた(著者撮影)

だが実は、モトローラ・モビリティはかつてのモトローラとは大きく異なる。というのも、モトローラは携帯電話事業の不振で、2011年に法人向け無線事業を担う「モトローラ・ソリューションズ」と、携帯電話事業などを担う「モトローラ・モビリティ」に分社化されている。

その後モトローラ・モビリティは2011年に米グーグルに売却された。さらに2014年には、日本ではパソコンメーカーとして知られる中国のレノボに売却されている。つまり現在、同社はレノボの子会社として、レノボ主導の下にスマホを開発・提供しているのだ。日本のSIMフリー市場への進出も、レノボの意向によるところが大きいのである。

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