「韓国投資ファンド」が処分勧告を受けた理由 被害者は出ていないが、管理はずさんだった
被害者はまだ出ていない。だが、行政処分の勧告に踏み切った。6月6日、証券取引等監視委員会はFIPパートナーズ(以下FIP)に対し行政処分を行うよう、金融庁に勧告した。
FIPはファンドの投資者を募る第2種金融商品取引業者。韓国の関係会社「サクセスゲート貸付社」(以下サクセス社)を通じて、主に韓国の法人に融資。その返済金を出資者への配当や償還に充てるファンドだ。FIPは自社ホームページで自らを「韓国投資ファンド」と称している。
管理体制があまりにもずさん
「G20(先進国20カ国)の中で隣国韓国の貸出上限金利の高さに着目した投資スキーム」――。FIPの白銀献(しろがねけん)社長は、投資ファンドの特徴をホームページの「ご挨拶」でこう説明している。
関東財務局が検査に入った2016年11月下旬。FIPは「年率5〜8.5%」と目標利回りをうたっていた(現在の目標は同4〜7%)。同社HPによれば、「FIPファンド短期1号」「同2号」はいずれも目標利回りの下限5.5%を下回ることなく、2015年4月と2016年3月に償還済みだ。
監視委員会によれば、6月6日時点でファンドが償還されないなどの「実害は出ていない」が、今回の処分勧告が必要だと判断した。なぜか。それは管理体制があまりにもずさんで、今後実害が生じかねないからだという。非常に珍しい例だ。
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