「韓国投資ファンド」が処分勧告を受けた理由 被害者は出ていないが、管理はずさんだった
FIP社は毎営業日に銀行預金の入出金データをサクセス社から入手することで貸し付けの実態を把握することとしていた。しかし実際には、サクセス社と貸付先との取引は現金取引が多く、FIP社は貸付金の使途や利息の原資などの実態を精査していなかった。現金取引を示す領収書も保管されていなかった。
追加で貸し付けた日と同日にほぼ同額の利息を受け取るなど、いわゆる「追い貸し」となっているおそれがあるのに、FIP社は見過ごしていた。
サクセス社は有担保で融資をしているので、担保の確認が欠かせない。だが、FIP社はサクセス社が提出する報告資料において、担保評価額が記載されていない状況を3年以上放置していた。記載がない理由を確認すらしていなかったという。
担保の多くはダイヤモンドだった!
担保の多くはダイヤモンドだったが、FIP社は鑑定による評価方法の調査や確認などをサクセス社に対して行っていなかった。また、サクセス社は鑑定書の鑑定業者名を偽造していたことも関東財務局の検査で明らかになった。担保の中には掛け軸もあったが、鑑定評価の内容に疑義がある状況をFIP社は放置していたという。
さらに、貸付金については回収の可能性を的確に把握する必要があるはずだが、サクセス社は貸付先の財務状況を確認していなかった。FIP社はこうした状況を遅くとも2014年6月には把握していたにもかかわらず、改善させていなかったという。
監視委員会によれば、まだ償還期限が到来していないFIPのファンドは9本で出資総額は10億2000万円。FIPのファンドに出資した個人は延べ500人に上る。実害が出る前の処分勧告は、FIP社やサクセス社の管理体制の改善につながるだろうか。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら