手塚氏は言う。
「横丁は、元が闇市だったから、駅前にあるんですよ。地震が来てここが燃えたら、駅も利用できなくなる。でも今の狭い路地の横丁のまま店を建て替えることは建築法規上できない。
また、たしかに、横丁には建て替え派も根強く存在しているし、行政や大手のゼネコンやデベロッパーは防災上危ないから更地にして、まったく新しく建て替えることばかり考える。でも僕はビルに建て替えたくはないんだよね。
人工的に横丁的な場所をつくるのは難しいと思う。今は恵比寿横丁があったりして、観光地にはなるけど、やっぱり昔からあるものにはかなわない。古いものを生かしながら新しさを加えていかないと。そのためには、防災と安全をしっかりしていかないと。今も木を燃えにくくする塗料があるんだけど、もっと絶対燃えない塗料を開発してほしい。昔から、防火対策として棒状のスプリンクラーを付けるべきだ、という意見もあったが、ほとんどの横丁で実現できていない」
ただ、手塚氏の頭の中にはすでに、横丁の青写真がある。「オランダのロッテルダムには『ロッテルダム・マーケット・ホール』というのがあって、楕円形のトンネルみたいな、ものすごい形の集合住宅の真ん中をくりぬいて、地面にマーケットをつくったりしてるんですよ。
天井には果物や花の絵が描いてあって、住宅の窓からマーケットも天井も見える。このマーケット自体は古い物じゃないらしいけど、ハモニカでこんなことができないかと思う」(手塚氏)。
たしかにすごい! こういう形で横丁が残せるといいなと思わせる。たとえば、再開発計画がある京成立石の駅前横丁だったら、このマーケットみたいなビルを、線路をまたいで造って、ホルモン屋も立ち食い寿司屋もおでん屋もそこに入れて残してほしいものだ。あるいは、高齢化が進む高島平団地(東京・板橋区)を建て替えることがあったら、こういう風にしたらいいのではないかと発想が広がる。
小池百合子都知事、手塚さんの相談にのってやってください。
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