2014年には、隈研吾を起用して「焼き鳥屋 てっちゃん」をリノベーション。焼き鳥店とは到底思えないポップでエロティックな壁画と、アクリルで作られたテーブルとイス。2階に上れば、色とりどりのLANケーブルを壁が覆う。今年6月に開店したばかりの下北沢「てっちゃん」や夏にオープンする予定のコミュニティスペース「ハモニカ横丁 ミタカ」でも、隈研吾が腕を振るっている。
「なぜ横丁に建築家を入れるかというと、レトロだけじゃ実際商売できないからですよ。モラスキーなんて評論家が昔の闇市がいいとか言うけど、ハモニカだって1998年まではシャッター通りで真っ暗だったんだから。だから今後は横丁のリノベーションをコンペにして建築家に競わせるのも面白いと思う。新しい風を吹き込まないといけないよ」(手塚氏)
建築だけではない。人もレトロだけではだめだと手塚氏は言う。
「この前マドリードに行ってきたんだけど、横丁でサンドイッチ売ってる若いやつらとか、めちゃくちゃいい加減で、パンの厚さはばらばらだし、でもすごく明るくて楽しそうなんだよね。客も店員も、生きることを楽しむために横丁にいるんだね。
日本人はまじめだから、暗くなるんだ。横丁も仕事帰りにしんみりする場所でしょ。僕も新宿の思い出横丁ではしんみり1人で飲んだりするんだけど、それだけだとつまんないんだね。だから今、うちの店は店員の半数以上がベトナム人とかアジア人なんだけど、ベトナムの女の子なんてすんごい明るいよ」
横丁が抱えた大きな課題
だが課題もある。『横丁インタビューズ』の表紙には「コイケさん お願いがあります。東京中にある横丁の相談にのって下さい。」と大きく書いてある。表紙をめくると「2020年、オリンピックには世界中の外国の方が東京に、そして横丁にきます。でも横丁には問題があります。防災と安全に問題があります。横丁は木造密集なのです。道路幅の問題で建て替えが不可能です。でもなんとか安全な横丁にしたい。外国人を安心して安全に『おもてなし』したい(一部修正して転載)」とある。
どうしてこんなことを書いたのか。
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