フランス人の結婚は「ロマンのかけら」もない 参列者の前で「財産分与法」すら読み上げる!
法的な婚姻手続きは、マリアージュ・シヴィル(Mariage civil:民事婚)といって、市役所で市長が主宰して簡素なセレモニーを行います。日本での“入籍”に簡単な儀式がくっついたようなものを想像してみてください。婚姻手続きをするためには、互いの情報を公開するための書類を準備する必要があります。その1つに医師が作成した婚前健康診断書があります。持病を隠していたといったトラブルを防ぐだけでなく、将来子どもを持てるかどうかを証明する目的もあるようです。
参列者の前で「契約内容」を読み上げる
もっとドライでロジカルとも言えるのがコントラ・ド・マリアージュ(Contrat de marriage)という結婚契約書を交わすシステムの存在です。「もし離婚することになれば、持ち家はどうする、財産はこうする」「どちらか一方が先に死去した際は、財産分与はどうする、他の一方が家にそのまま住み続けることへのウイorノン」等々。
日本であれば、そんな話し合いはひっそり内々に行われます。とてもセレモニー中に耳に入ってくるような内容ではありません。でも、そこはフランス。証人と参列者の前で堂々と契約書が読み上げられ、衆人環視のもとで契約内容が確認されます。なんてファンキーなの!
もっとも、特段の契約もなく、愛という幻想だけで婚姻の闇に転がり込むことも可能です。すると、自動的にすべてが夫婦の共有財産となって、フランスでは離婚時には相当揉めることになるそうであります。
過半数のカップルが選択するのが、最初にご紹介した簡易な民事婚。教会での結婚式、マリアージュ・ルリジュー(Mariage religieux)を選ぶカップルは、宗教への無関心などを背景に半分以下。そんなのロマンチックじゃないわ!ただ、人間というのは夢見る存在。最近また人気復活の兆しがあるとか。
フランス人の結婚観の裏側については「フランス人の結婚観が実は超堅実な訳」でアナライズしましたが、結婚生活を持続させるには、案外この「教会で白いウエディングドレスを身に着けて、ヴァージンロードを歩き、永遠の愛を誓う」という演出が大きな牽引力になるのですよ。
日本人はフランス人ほど合理的に、とはいかず、68%のカップルが結婚式を実施しているとのこと(リクルートブライダル総研「結婚総合意識調査2016」)。これからお友だちやお知り合いのブライダルにお呼ばれになる皆さん。その日が雨だったら、こんなメッセージはいかがですか?
フランスにジューンブライドのジンクスはありませんが、「雨の日の結婚式は幸せになる」とは言われています。その理由は「天から祝福された証拠で、天使の粒が降り注ぐから」とも、「これから先の一生分の涙をこの雨が流してしまうから」とも。
ですから、センシュアルに「天からの慈しみの雨ですね。フランスではこんな言い伝えがあります」と「幸せな雨の結婚式」の話をしてみてください。定番の「日本では古くから雨降って地固まると申します」よりもいいと思いませんか。あいにくの雨で曇っていた花嫁さんの瞳は明るくなり、生涯最高の美しさがいっそうの輝きを放つに違いありません。
もし晴れたら、次の言葉があります。“ Happy is the bride the sun shines on!(燦たるサンは花嫁を祝福する!)”と。
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