パリの家には、なぜ「カーテン」がないのか

知らない人との出会いは、多様性との出会い

パリの民家では、カーテンを閉めずに生活している人が多いようです(写真:キナコちゃん / PIXTA()
“貴女がつけているそのいい香りの香水、知っているよ。最愛の妻が使っていたのと同じだからすぐにわかるのさ”
                         ~通りすがりのムッシュー

 

先日、日本の自宅を引っ越しました。時に富士山の見える眺めのよさと広さの快適さを差し出して、交通の便のよさを選択することにしたのです。

新居において、近接しているビルとは、ベランダでタバコを吸う”ホタル族”とも目が合ってしまうほどの近距離なので、カーテンなしではとても暮らせたものではありません。引っ越し後、第一にやったのはカーテンを取り付けることでした。

フランスでは、まわりの部屋の中がまる見え!

パリの都心近くにあるアパルトマンは少々事情が違います。人々はカーテンなしの生活を普通にしているのです。隣のビルとの距離からいえば、日本の都心と同じか、もっと近いほどです。冬には目隠しの役割を果たす街路樹のプラタナスの葉が落ちるので、障害物は本当に何もなくなります。すると、まるでアメリカ映画の『裏窓』を彷彿とさせるほど、時に家族劇や人生劇をはっきりと観ることができます。

あるときふと窓の外を見たら、向かいの部屋でフェットしていた隣人と目が合って、「楽しいよ、こっちに来たら?」と、ジェスチャーをされました。「ラ・フェット〈la fête〉」は豪華な食事、饗宴などと訳されますが、この場合は家での飲み会です。安息日の日曜日はほとんどの店が閉まっているので、友達同士で肴(さかな)とワインと持ち寄って行う、気が置けない集まり。いま思えば、お邪魔すればよかったかも。

このフランス人の開放性、いったいどうしてなのかしら? 人の目をまるで気にしないのか、あるいは他人に見られるのが快感なのかもしれません。

部屋の中を見渡すことができても、玄関のドアは侵入者防止を理由とした内開きです。いざというときは、家具でバリケードを築くのだそう。戦争や内乱を繰り返してきたフランスゆえの造りです。日本の家は土足禁止ですから、靴を脱ぐスペースと靴の置き場を作るために玄関の戸は外開きです。ホテルなど公共施設は避難路の妨げにならぬように内開きになっていますが。

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