フランスの「恋愛至上主義」は歴史ある文化だ 日本人も「堪え忍ぶ」タフな恋愛をしてきたが

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歴史的に恋愛至上主義のフランス。ミッテラン元大統領は、記者から愛人との間に子どもがいることを問われたとき、「Et alors ?(それが何か?)」と答えたといいます(写真:アフロ)
“経営者には確かにクールさが必要だけれども、人生で一人の人間を真剣に愛したことのないヤツなんて、僕は信用できないね”
経営者 ドラファージュ氏

 

アメリカの大統領はつねづね「アメリカファースト」と獅子吼(ししく)しておられます。東京都知事は「都民ファースト」とか「アスリートファースト」が決まり文句です。電通やヤマトは「従業員ファースト」、世の中なんでも「○○ファースト」がはやりとなっています。

わたくしも、拙著『生涯男性現役』の中で、ジャパンニーズジェントルマンに作法としてのレディファーストをおすすめしました。これがセンシュアルな人に映るための手っ取り早い方法であり、本当に体得することができれば自他ともに許すセンシュアリティの高いジェントルマンなるに違いないからです。

レディファーストは、中世騎士道から続くギャラントリー(galanterie)という気風のもたらしたもの。もともとは「颯爽(さっそう)とした勇敢」や「女性への慇懃(いんぎん)・礼節」といった意味ですが、貴婦人への無償の愛と献身へと転化しました。有夫の女性を対象とした趣味的恋愛を指すとの見方もあり、なんとも倒錯的で、マゾヒスティックです。

背伸びしている騎士たちにとって、若い女性を思慕したことで「おまえ、娘っ子なんかを相手にしているのか?」などと言われたくはありません。一方、若い男性たちにあこがれの目差しを向けられる年上の女性たちは、悪気がしないどころではありません。かつて貴族階級では、夫と結婚してから女性は恋愛ステージに突入したのです。

大人の愛は爛熟し退廃の翳(かげ)りが忍び寄ってこそ美しいのかもしれません。こうして、歴史とともに恋愛至上主義文化はフランス文明の中に溶け込んでいったのです。モノゴコロがつくかつかないかの幼いころから、老いて朽ち果てるまで、フランス人の女も男も恋に――精神的のみならず肉体的な――愛に狂奔して、ラビアンローズ(バラ色の人生)を生き抜くことに懸命になります。

フランス人の「恋愛狂い」は病気なのか?

フランスで暮らし始めた当初、恋愛至上主義文化を目の当たりにしたわたくしは「これはビョーキではないか?」と疑いました。ただ、20年も生活してみると、そんな偏見はなくなります。恋愛至上主義はフランス人の文化であり、フランスという国土にしみ付いた文明であることが皮膚感覚でわかるようになったのです。

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