トランプ家とユダヤ教、その浅からぬ関係 現職で初めて聖地「嘆きの壁」を訪問した意味

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イスラエルの「嘆きの壁」で神妙に祈ったトランプ米大統領。ユダヤ教とトランプ家の浅からぬ関係とは何なのか(写真:c UPI/amanaimages)

トランプ家とユダヤ教の知られざる関係が垣間見えた――。

イスラエル訪問中のドナルド・トランプ米大統領は5月22日、東エルサレムにあるユダヤ教の聖地「嘆きの壁」を、現職の合衆国大統領として初めて訪問した。トランプ氏はユダヤ教徒の男性を表す小さな黒い帽子(キッパ)を被り、同行したユダヤ教のラビともに嘆きの壁に頭をつけて、ユダヤ教のしきたりに従って祈った。娘婿で正統派ユダヤ教徒でもある、ジャレッド・クシュナー上席顧問が同行したが、レックス・ティラーソン国務長官やイスラエル政府関係は同行を見合わせた。

トランプ氏が礼拝中、男女別に礼拝所ゾーンが区別される嘆きの壁では、女性礼拝ゾーンで長女のイヴァンカ補佐官が礼拝した。トランプ家の宗教は、イギリス起源のプロテスタントである、ピューリタン(長老派)である。合衆国建国にあずかった長老派は、米国で最も社会的地位が高く、資産家が多い宗派として知られる。

クシュナーとの結婚で改宗したイヴァンカ

長女のイヴァンカ氏はクシュナー氏と結婚して、ユダヤ教に改宗した(写真:c UPI/amanaimages)

娘のイヴァンカ氏はクシュナー氏との結婚の際、長老派から正統派ユダヤ教に改宗した。ユダヤ教では、母親がユダヤ人(ユダヤ教徒)でないと、子どもがユダヤ人として扱われない決まりになっていることから、結婚を契機に、キリスト教からユダヤ教に改宗する有力者の子女が少なくない。ビル・クリントン元大統領夫妻のひとり娘チェルシー・クリントン氏も、保守派ユダヤ教徒との結婚にあたり、家の宗教であるメソジスト(プロテスタントの一派)から、保守派ユダヤ教に改宗している。米国のユダヤ教は戒律が厳しい順番に、「超正統派」「正統派」「保守派」「改革派」の4派に分かれるが、ここではそれぞれの特色に触れない。

嘆きの壁の前でキッパを被り、祈りを捧げた米大統領経験者は、何人もいる。ジョージ・ブッシュ(子)、クリントン、バラク・オバマ各氏だ。米国におけるユダヤ人の政治勢力は大きい。投票や政治資金を通じて、大統領選や議会選挙を左右する。さらに、聖書の独自解釈から「イスラエルやユダヤ人のすることは何でも支持する」という立場のキリスト教福音派が推定約5000万人もいて、ユダヤ人と提携関係にある。

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