もし日本が北朝鮮に核ミサイルで狙われたら 軍事的脅威の中で自衛隊の重責が増している
北朝鮮がミサイルの発射実験を繰り返し、にわかに緊迫化した朝鮮半島の軍事情勢。北朝鮮で最大の祝日である4月15日(故・金日成主席の誕生日)の前後に、核実験を行うか、弾道ミサイルを発射するという観測が東アジアで広がった。
日本では、安倍晋三首相をはじめ政府高官によって軍事危機の雰囲気が醸成されたが、結局、5月初旬となっても北朝鮮は直接的な行動を控えたままだ。
日米両政府による北朝鮮への警告が効いたとみるべきか、やや過剰に危機が喧伝されたか、今のところ判然としないが、4月末に米韓合同軍事演習も終了し、危機はひとまず終息しそうな情勢だ。
北朝鮮の核は米国への対抗措置
日本では北朝鮮の核兵器とミサイル実験がセットになり軍事危機が語られたが、少なくとも核兵器は日本を狙ったものではないというのが軍事専門家の見方だ。
海上自衛隊の元海将で、金沢工業大学大学院の伊藤俊幸教授は「北朝鮮のミサイルや核開発は、米国と対等な立場で対話をしたいがため」と断言する。米国は核大国であり、その米国と張り合うためには自らも核を持たなければいけないというのが北朝鮮の論理だ。そこでは、日本は意識されていない。北朝鮮のミサイルの標的は、あくまでも米国だ。
とはいえ、北朝鮮が米国に向けてミサイルを飛ばしたとしても、誤って日本に落ちてくる可能性を完全に否定できないのも事実だ。万が一の可能性にそなえて、日本はミサイル防衛(BMD)を備えている。その主力は海上自衛隊のイージス艦と地対空ミサイルのPAC3だ。このBMDによって、北朝鮮から飛来するミサイルはほぼ撃ち落とせるという。ただ、複数かつ同時着弾を企図して発射されたミサイルに対しては、撃ち漏らす可能性は否定できない。
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