脱北エリートが語る「北朝鮮の体制転換」3条件 内実を知るテ・ヨンホ氏に独占インタビュー

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1.権力維持の自己目的化~改革・開放より、権力維持が大切

本書で、まず第1に明らかになったのが、金王朝の最大の関心事項が「独裁政権の維持」にすぎない、ということである。資本主義を取り入れ、改革・開放路線を歩めば中国のように経済発展できることは、実は金正日(キム・ジョンイル)の時代から、北朝鮮の指導者たちにはわかりきっていることだ。しかし、改革・開放路線を進むことで、いまの権力者の正当性を維持できず、権力を維持できなくなることも、彼らは深く理解している。

これは本書の中で羅教授が述べておられる、「権力の維持自体が自己目的化してしまっている、矛盾した権力」という言葉が、現状を端的に言い表している。

「北朝鮮が存在しないなら、そんな地球は必要ない」という金正日の主張は、「矛盾した絶対権力の維持」が至上命題となっている体制の特異性を、最も鮮やかに示している。

本書を読めば、祖父金日成(キム・イルソン)・父金正日、そして金正恩の3代にわたる「政策なき、権力維持への執着」が、一発で理解できることであろう。

北朝鮮だけ改革できない実態

2.集権化への過度な成功、唯一的領導体系の神格化~政敵の徹底排除

2つ目が、なぜ北朝鮮だけ改革できないのか、その実態だ。その北朝鮮の失敗理由が、まさに「集権化への過度な成功」および、「唯一的領導体系の神格化」である。

ソ連や中国という社会主義の親分、兄貴分が続々と改革し、また東欧諸国もすっかり資本主義と民主主義を取り入れて久しい。しかし、この社会主義の弟か孫くらいだったはずの北朝鮮だけいつまで浮世離れした体制を続けるのか、不思議に思っておられる読者の皆様も少なくないのではないか。

その謎の答えを一言でいうと、この矛盾した権力を維持するために、政敵の徹底排除に成功しすぎたという点である。金王朝は、潜在的な選択肢を消すために、その独特な言い回しである「枝の枝」といった表現で、異母兄弟を徹底的に排除・粛清してきた。

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