脱北エリートが語る「北朝鮮の体制転換」3条件 内実を知るテ・ヨンホ氏に独占インタビュー

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

北朝鮮では飢餓を含めた生活苦を強いられた民衆に、金王朝とその周辺の「特権階級」による実質的な身分制統治で圧政を敷いてきた。

加えて、北朝鮮は韓国と統一政権の正統性を争って戦っている。失敗を認めて改革するということは、後任者が世襲した「唯一的領導体系」の正当性を棄損するのみならず、南北統一の主導権争いにおいて、「韓国に対する正当性も棄損する事態」にもつながってしまう

このことは、金日成の遺訓である、「息子が体制を変えようとしたら、殺してしまえ」という遺訓に最もよく表れているのである。

「指導者が変わるたびに大粛正」の謎

3.権力継承制度の欠如~権力継承システムの欠如が、大粛清につながる

3つ目に明らかになったのが、「権力承継制度の欠如」である。金王朝統治下の北朝鮮では、その絶対権力の安定的な継承システムおよびルールがないため、指導者が変わるたびに熾烈な権力闘争と粛清がつきものとなる。

結局のところ、権力および社会が正常に機能するには、つねに政権交代可能な選択肢がある状態にしつつ、権力の承継を可能にする安定的な制度が必要なのだ。

アメリカ政治で私がすごいと思うのが、あれほどの大国にして、政権交代が毎回スムーズに執り行われる点である。大統領選まではあれほどの双方の非難合戦が行われていても、いったん選挙で結果が決まれば、国を団結させて権力の移行過程を完全かつスムーズにこなすことが国是となっている。たとえ好ましからざる大統領が選ばれたとしても、円滑な権力移行へのノーサイドな協力体制は、はたから見ていて羨ましさすら感じる。

これに対し、北朝鮮ではそもそも他の選択肢をつくって政策論争させることがありえない。また後継者選びに明確なルールがあるわけでもなく、「唯一的領導体系」の安定のためには潜在的ライバルを潰す必要があるので、「リーダー候補」がそもそも存在しない

次ページ国際社会が体制を変革するためにはどのようなことができるか
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事