「無名なシェアトップ」企業にも就活せよ! 有名人気企業に入社しても大切に扱われない

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そのCDPでは、学生がディスコの社内を自由に見て回り、興味のある部署の社員に自由に話を聞くことができる。採用担当者が立ち会わないので、説明会では聞きづらいような質問をすることも可能だ。制限時間内ならば、どの部署で何人にインタビューしても構わない。

後でインタビューの内容が人事部に連絡され、それが選考評価の対象になることはない。CDPを実施するのは、データなどではわからない会社の雰囲気などを知ってもらって、ミスマッチを避けるためだ。

同社の採用ではミスマッチを避けることを重視しており、インターンシップは年に2回(夏と冬)実施している。募集ではリクナビやマイナビを使うだけでなく、採用担当者が個別に大学訪問もしている。

今後はインターンシップだけでなく、学生アルバイトを増加させる方針だ。アルバイトをとおして、業務と社風を知った学生が、納得して入社するのを期待している。

本社ビルに託児所完備、保育士も常駐

ディスコでは福利厚生が充実しているが、なかでも注目は、本社ビル内の託児所の存在だ。定員14人で保育士のほか、栄養士も常駐している。男性社員も子どもを預けることができる。保育園の数が足りず、子どもを預けられないことが多いが、同社の社員にはその心配がない。

多くのメーカーでは研究開発拠点を本社ビルと離れた郊外に置くことが多い。しかし、同社は大田区の本社ビルにR&D(研究開発)センターを併設しているので、研究職の社員でも都内勤務だ。福利厚生の一環で、R&Dセンターを都心部に置いているわけではないが、こうした環境は研究開発職の社員にとても好評だという。

業界で圧倒的に高いシェアを占める企業は、業績が安定していることが多い。知名度が低い場合、採用に苦労しているので、従業員を大切にする傾向がある。ミスマッチを防ぐために採用活動もていねいだ。就活生は人気に惑わされることなく、企業の中身をしっかり研究してから進路を決めてほしい。もし、すでに人気企業から内定を獲得していたとしても、その企業が自分に適しているかどうかはわからない。

田宮 寛之 経済ジャーナリスト、東洋経済新報社記者・編集委員

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たみや ひろゆき / Hiroyuki Tamiya

明治大学講師(学部間共通総合講座)、拓殖大学客員教授(商学部・政経学部)。東京都出身。明治大学経営学部卒業後、日経ラジオ社、米国ウィスコンシン州ワパン高校教員を経て1993年東洋経済新報社に入社。企業情報部や金融証券部、名古屋支社で記者として活動した後、『週刊東洋経済』編集部デスクに。2007年、株式雑誌『オール投資』編集長就任。2009年就職・採用・人事情報を配信する「東洋経済HRオンライン」を立ち上げ編集長となる。取材してきた業界は自動車、生保、損保、証券、食品、住宅、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、外食、化学など。2014年「就職四季報プラスワン」編集長を兼務。2016年から現職

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