「起業が目的」で大企業に入る若い人の本音 日本の起業の現場は、こう変わってきた

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この真・意識高い系の希少な若手社員には、起業という選択肢が存在しているのです。ならば、ここで考えておきたいことが1つあります。それは大企業として、真・意識高い系の若手社員の起業~人材流出を容認してしまっていいのか? ということ。世間で揶揄されている意識高い系のような困った人材ではなく、会社としては期待の高い人材です。辞められてしまった大企業の人事部に取材しても、

「起業するために退職した人材の大半は辞めてほしくなかった。社内的には評価も高くて、引き留めの声も大きかったです」

と、惜しむ人材であることがわかります。ところが、すでに若手社員が退職して起業する流れができつつある大企業もあります。起業の準備に適した会社と認知されている大企業が、起業したい学生の人気就職先として話題になることもあります。

活躍を期待して会社の中核の職場に配属した若手社員が、20代で退職すると困ると考える大企業が大半のはず。そもそも、企業は起業のための準備機関ではありません。せっかく採用した期待の人材を早期に流出させないためにはどうしたらいいでしょうか。

有意義な人材活用を考えることが必要な時代

チャレンジ精神にあふれた人物だと考えれば、既存の雇用形態やルールに縛られない仕組みを検討して、つくりあげてはどうでしょうか? たとえば、

・社内起業ができる制度

・副業として起業の支援

・ベンチャー企業へ出向

など、取り組んでいる大企業は徐々に増えています。あるいはこうした支援業務を専門に行う会社も登場。たとえば、ベンチャーと大企業の課題を結びつけて、企業間で人材をレンタル移籍させるというサービスを行っているベンチャー企業に、株式会社ローンディールがあります。大企業の人材を求めるベンチャー企業とマッチングを実施、期間限定での出向から転籍する社員もいるとのこと。

こうした支援サービスなども活用して起業したい人材と大企業がつながる状態をつくり、大企業としても有意義な人材活用を考えることが必要な時代になったのかもしれません。ただ、起業したい人材を引き留める一方、大多数の普通の社員たちから不満が噴出しないようなケアも必要。ダイバーシティや働き方改革の一環として多様なワークスタイルを容認する取組みに組み込んで、巧みに行う気配りも必要でしょう。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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