「起業が目的」で大企業に入る若い人の本音 日本の起業の現場は、こう変わってきた

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日本の「起業」はこの20年でどのように変遷してきたのでしょうか(写真 : Graphs / PIXTA)

“イマドキの起業”とは?

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先日、リクルート本社で行われた『アントレ』創刊20周年のイベントに出席しました。アントレとは起業を支援する情報誌。筆者は創刊から事業に関わり、編集長や事業部長を長く務めました。

創刊から20年が経過すると関係者の数も相当多くなり、懐かしい仲間らとも話し、“イマドキの起業”について考える機会になりました。

日本の「起業」はこの20年でどのように変遷してきたのでしょうか? 『アントレ』が創刊された1997年から数年後に起業ブームが起こりました。渋谷あたりがビットバレーと呼ばれ、起業(主にネットビジネス)の聖地となり、さまざまなイベントが毎日のように行われていました。しかも、銀行や総合商社などの《大企業を辞めて》会社を起こす若手社員(=起業家)がたくさん登場。テレビでも起業家があこがれの職業として紹介され、もてはやされました。

それ以前、(若くして)大企業を辞めて起業するなんて無謀で、辞める人は「それなりの理由」があるネガティブな決断と見られがちでした。ところがパラダイムが変わり、起業が格好いい、あこがれのキャリアに変わったのです。

どうして、そこまでの変化が起きたのでしょうか? 大きく2つの背景がありました。1つ目が大企業で働くことに対する閉塞感。当時は商社「冬の時代」、メガバンクは不良債権を抱えて再編中。人気企業として長年君臨してきた大企業でもリストラが行われるようになるなど、それまでの名門・優良企業の地位が揺らぎ始めた時代でした。

そして2つ目は海外(主に米国)から舞い込んだ成功物語に対するあこがれ。当時はネットを活用したベンチャーで大成功を収めるなど、大企業にいたら縁がないような巨万の富を得た起業家のニュースが話題になっていた時期。日本にはまだそのビジネスはないが、大企業でそれに取り組みたくても自分たちは決裁できる立場にはない。ならば、自分で起業してやるべき……と大企業という船から降りる若手社員が多数出てきました。これはタイムマシーン戦略と呼ばれ、海外の周回遅れで起業しても成功すると思われていた時代でもありました。

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