これほど極端でなくても、最上級の敬語まみれで何が言いたいのかよくわからないものとか、突然の署名なしのメールに「苗字+拝」とあり「誰?」と首をかしげるもの、「先日の件、その後いかがでしょうか」とだけあって何の話か不明なもの、学生さんからのメールで「小職は……」の書き出しに違和感を覚えたり。
仕事ができると言われる人からの短いメールで、歯切れがよく、わかりやすい反面、なんだか傷つくというか怒られているような気持ちになることもあったり。感じた違和感を、自分は誰かに感じさせていないかつねに意識して、自分なりに学習していくしかないのかもしれませんね。
メールで言う? 口頭で言う?
そういえば、ずいぶん前のことですが、ある朝、出社してメールチェックをしていたら、すぐそばの席の若手女性からメールが届いたのです。食事会のお礼メールで、私だけに送られているよう。顔を上げて見ると、目の前に彼女が座ってPCに向かっている。私も彼女も電話をしたり周囲と話したりもしていないのに、すぐそばにいる彼女からメールが届いて、私は、正直、ちょっとびっくりしてしまいました。
すぐに彼女に「こんなに近くにいるんだから、直接声をかけてくれたらいいのに~」と話しかけると、とてもまじめできちんとした彼女は、「もしかしたらすごくお忙しいのかもしれないし、メールならご都合に合わせて読んでいただけると思ったので……」と言い、「こういう場合はメールをお送りするのは失礼になるのでしょうか」と困った様子で続けました。思わず私は彼女と一緒に、「そうだねぇ……」と腕組みしながら正解を考えてしまいました。
結論としては、その彼女がちゃんと慮ってくれていたということや、「どうしよう」と躊躇したことも一緒にメールに書いてしまえばいいのでは、ということに至りました。そうすれば、「近くにいるのにメールかよ」とはならないし、彼女らしさもちゃんと伝わる。でも、本当は、「ちょうどメールしようとしていたところでした。昨晩はごちそうさまでした!」とか、「今、メール送っちゃったところです~」とか、声をかけてくれたら十分だよね、とふたりで笑ったのを覚えています。
私はしかったつもりはなかったけれど、あなたのご相談を読んでいるうちに、「あのとき、彼女はしかられたと思ったのかも」と反省しました。そういう意味では、私とあなたの上司や先輩たちとは同類かもしれないですが、あなたと彼女は少し違っているようです。なぜなら、彼女は「どうしたらいいのか」というところまで踏み込んで、私に答えを求めてきたのですから。
思わず一緒に考える羽目になり、そして彼女の何事にもきちんとまじめに答えを出そうとするスタンスを、あらためて知ることになったわけです。本来は「どうすればよりよくなるか」とセットで注意すべきなのでしょうが、そうでないのなら、あなたがそれを求めていくことが、「しかられる頻度」を減らす前提になるように思いますよ。
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