時価総額42兆円!米国で話題のMLPって何だ ゴールドマン・サックスのキリ・ルーピス氏に聞く、シェール革命の実態
米国の「シェール革命」が喧伝されて久しいが、その革命はまさに“現在進行形”だ。同国の天然ガス・原油生産量は過去5年間で20~25%の伸びを記録。2016年までに天然ガスの純輸出国に転じ、20年までにはサウジアラビアを抜いて世界最大の原油産出国となる見込みだ。 こうした劇的な変化は、日本にいると実感しにくい。
だが、米国の証券取引所に上場し、株式と同様に売買されているMLP(マスター・リミテッド・パートナーシップ)の時価総額を見ると一目瞭然だ。MLPは、主に北米で天然ガスや石油のインフラ(パイプライン、貯蔵施設など)を展開する事業体だが、その全体の上場時価総額は10年前に比べ約8倍に拡大。今年6月末時点で4362億ドル(約42兆円)に達した。機関投資家の間でも急速に注目を集めるMLP。その強みとは。ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント(GSAM)で米国エネルギー・インフラ投資戦略を担当するキリ・ルーピス マネージング・ディレクター(写真)に話を聞いた。
――シェール革命という言葉は日本のビジネスパーソンの間でもかなり浸透してきましたが、勢いは続いているようですね。
非常にパワフルなトレンドだ。天然資源の発見と、「フラッキング」と言われる採掘法を主体とした新技術開発が進んでいることが2大要素だ。その結果、米国内の石化エネルギーの生産量は毎年新記録を更新している。
――個人や機関投資家としては、どの投資先に注目したらよいですか。
3つの大きなカテゴリーがある。第一に探鉱や掘削といったエネルギー生産者、第二にパイプラインや貯蔵などのインフラ、最後に流通や化学などのエネルギー利用者だ。この川上、川中、川下の中で優先的な投資先となるのが川中であるインフラだ。なぜか。商品市況に左右されず、キャッシュフローが非常に安定しているうえ、成長分野であるからだ。
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