アジア諸国は急速に中国になびき始めている

トランプ氏が招く米国離れ

 5月2日、中国政府の勢力圏に引き寄せられる国々がアジア全域で増えつつある。写真は1日、フィリピンのダバオに入港した中国海軍艦艇を視察するフィリピンのドゥテルテ大統領(2017年 ロイター/Lean Daval Jr)

[マニラ 2日 ロイター] - 中国政府の勢力圏に引き寄せられる国々がアジア全域で増えつつある。先月末のASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議が示した南シナ海の領有権問題に対する弱腰姿勢は、こうした根本的な地政学的シフトが勢いを増していることを明確に物語っている。

アジア「基軸」戦略が放棄された?

トランプ米大統領が先週末にフィリピン、タイ、シンガポールの首脳と相次いで電話会談を行ったことは、トランプ氏の「米国第一」主義によってオバマ前政権の掲げたアジア「基軸」戦略が放棄されたのではないかと懸念していた人々を勇気づけたかもしれない。

だが、プリーバス大統領首席補佐官によれば、各国首脳との会談は、北朝鮮との対立が「アジアでの核や大量破壊」につながった場合に、アジア同盟国との連携を保つことを意図したもので、広範囲な戦略的目標には触れなかったという。

米国が自分たちの後ろ盾になっていると、東南アジア諸国が安心するためには、もっと別の何かが必要だろう。

それと同時に、いくつかの東南アジア諸国は中国に接近しつつある。南シナ海の領有権紛争に対する態度を和らげ、中国政府が進めるインフラ整備計画「一帯一路」の分け前にあずかることで、米国による環太平洋経済連携協定(TPP)離脱のダメージを補おうとしている。

トランプ大統領と中国の習近平国家主席のあいだで予想外の友好関係が生まれていることも、中国寄りにシフトしているアジア諸国にさらなる自信を与えている可能性がある。

「以前であれば、東南アジア諸国の大半は、中国の地域的な経済イニシアチブと、米国による中国への対抗策の双方から利益を得たいと考えていた」と東南アジア研究所(シンガポール)のマルコム・クック上席研究員は語る。「現在、このバランスのうち、後者についての疑問が生じている。そこで、外交面、安全保障問題において中国に従う圧力が高まっている」

次ページ「中国政府への圧力は無意味」
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 貧困に喘ぐ女性の現実
  • ほしいのは「つかれない家族」
  • 若者のための経済学
  • 「日本の外交」超入門
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
進撃の商社<br>純利益1兆円への野望

資源価格の反発で総合商社の業績は絶好調、非資源での新規ビジネス創出にも余念がない。純利益1兆円突破への期待も出てきた今、商社の実力を総点検する。5大商社のトップがそろい踏み、「人材編」にはイラストで各社のキャラ解説も。