アジア諸国は急速に中国になびき始めている トランプ氏が招く米国離れ

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タイとマレーシアも中国に接近しつつある。オバマ政権時代には、軍部主導のタイ政府の下で自由が圧迫されているとの懸念から、米政府との関係は悪化していた。

トランプ氏は30日の電話会談の際に、タイのプラユット首相に米国訪問を求めたものの、元将軍が率いる政権の視線は別の方向を向いている。プラユット政権は先週、中国から10億ドル超で3隻調達する予定の潜水艦の1隻目の購入予算を承認した。

シンガポールのリー首相は、米国政府の新たな姿勢により、アジアの政治・経済バランスに変化が生じているという。

シンガポールはベトナム同様、中国接近の兆候を見せていないが、リー首相は29日、他のASEAN首脳に対し、トランプ大統領が「過激に異なるアプローチ」を採用しているとはいえ、米国と中国とのそれぞれの関係におけるバランスに配慮すべきだと強調した。

トランプ氏は11月にこの地域で予定されている2つの首脳会議に出席する意向を示している。

「日本の影響力を拡大するべき」

だが東南アジア諸国は、中国の強引な姿勢に対する防壁として、これまでのように、どの程度米国に頼ることが出来るのかを探っているところだ。ASEAN諸国の外相は4日のティラーソン米国務長官との会談でその答えを見つけようとするだろう。

不確実な米国政府のコミットメントは、ASEAN諸国を、好条件の融資やインフラ投資、関税引き下げを掲げる中国の方に引き寄せるだけだ、とアナリストは指摘する。ただ、そうなれば、ASEAN諸国は交渉力低下というリスクを背負うことにもなる。

チュラロンコーン大学(バンコク)安全保障・国際問題研究所のティティナン・ポンスディラック所長は、米国政府を再び勢力バランスに引きこむとともに、日本の影響力を拡大することにより、交渉力を強化することがASEANにとっては必須課題になると指摘する。

「中国に対する譲歩、順応、あるいは妥協によって、いまやASEANは危険な立場にある」とティティナン氏は語る。「中国が今後も抜け目なくASEANを別の方向に誘導するならば、ASEANの状況は今よりもはるかに悪くなるだろう」

(Martin Petty and Manuel Mogato 翻訳:エァクレーレン)

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