トヨタも勝てない「スズキ」インド戦略の要諦 現地取材でわかった圧倒的強さの理由

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インドでは全長4メートル以下のクルマは物品税が低く抑えられるため、主力モデルのほとんどがそのカテゴリに収まるように作られたが、NEXA取り扱いの「S-CROSS」と「シアズ」は4メートルを超える全長を持ち、アッパーレンジの顧客層を狙う。また、インド都心部では大気汚染が大きな問題となっており、2019年からはユーロ6レベルと同等の排気ガス等の規制強化が行われることになり、買い替え需要も高まることで、インドの自動車マーケットはさらに白熱すると考えられている。

ちなみにインドを走る車はどんな色が多いと思われるだろうか。答えは白。インドでは圧倒的だ。白はインドにおいて高貴な色とされており、また政府高官などの乗るオフィシャルカーも黒塗りならぬ、白塗りだ。そんなこともあり、自家用車をステータスと考える彼らが白をセレクトするのは当然でもある。また、それ以外にも実利的な問題もある。インドは未舗装の道が多く、乾燥しがちな気候であることから、街はホコリにまみれている。そのホコリが目立たないという点でも白が選ばれるのだ。

レクサスもインドにおける展開を開始した

マトゥラ通りには豪華なショールームが並ぶ(筆者撮影)

デリー市内のマトゥラ通りにはフェラーリ、ランボルギーニ、マセラティといったメーカーのCIに基づく豪華なショールームが並ぶ。その道の反対側では牛が寝転び、路上生活者たちが大声を張り上げているという不思議な世界なのだが、これらラグジュアリーカーのマーケットは高額な取得税や関連コストにもかかわらず大きく伸びており、先日もレクサスがインドにおける展開を開始したというニュースが流れた。

ラウンドアバウト(ロータリー)では一般車両が入り乱れるだけでなく、オートリクシャーや自転車も牛も参入し、まさにカオス状況となるし、道路の至る所に速度制限のための凸が設置されるという環境の中で、これらラグジュアリーカーやスポーツカーを運転するのは拷問とも思えた。

越湖 信一 PRコンサルタント、EKKO PROJECT代表

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えっこ しんいち / Shinichi Ekko

イタリアのモデナ、トリノにおいて幅広い人脈を持つカー・ヒストリアン。前職であるレコード会社ディレクター時代には、世界各国のエンターテインメントビジネスにかかわりながら、ジャーナリスト、マセラティ・クラブ・オブ・ジャパン代表として自動車業界にかかわる。現在はビジネスコンサルタントおよびジャーナリスト活動の母体としてEKKO PROJECTを主宰。クラシックカー鑑定のオーソリティであるイタリアヒストリカセクレタ社の日本窓口も務める。著書に『Maserati Complete Guide』『Giorgetto Giugiaro 世紀のカーデザイナー』『フェラーリ・ランボルギーニ・マセラティ 伝説を生み出すブランディング』などがある。

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