トヨタも勝てない「スズキ」インド戦略の要諦 現地取材でわかった圧倒的強さの理由
これを迎え撃つマルチスズキとしては、よりインドのマーケットの求めるニーズに合致するクルマ作りをするために新しい取り組みをしている。
現地のニーズに合った車作りを行っている
1つはデザインとエンジニアリングの開発拠点をインドに置き、現地のニーズに合った車作りを行うということだ。
「インド人のデザインの好みは比較的わかりやすくて、しっかりとした顔の表情、厚みを感じさせる力強いボディ、そして流れをイメージさせるダイナミックな造形を持っていることがマスト。でも難しいのがそのさじ加減なんです。どれくらいのスパイスを利かせればちょうどいいのか。これはやはり、インドでお客さんの話を聞いて、インド人デザイナーとモデラーと一緒に作らないとわかりません」と伊達氏は語る。
つまり、北米をメインターゲットとする多くの日本車のデザインはあまりインド受けしないということだ。そうなると、メインターゲットをヨーロッパ市場とするスズキのデザインポリシーは受け入れられやすいし、これまた個性的な軽自動車のデザインをリードする存在であることもアドバンテージの1つだ。
ちなみに現地の洪水が頻発する気象状況や未整備の路面状況に対応するため、日本開発のオリジナルモデルと比較して、インド生産車は車高を上げるなど多くのローカライズを行っているという。
私はフェラーリやランボルギーニのようなブランディングを確立するためには、「独自性と持続性」「伝説(ストーリー)」「希少性」の3要素が必要と考えている。この「独自性と持続性」「伝説(ストーリー)」について、マルチスズキはショールームやサービス拠点もライバルと比較して整備されており、何よりも信頼性が高いというすばらしいブランドイメージを作り上げている。
さらに「希少性」のアピールにも余念がない。スズキは新しいモデルと販売チャネルNEXA(ネクサ)を2015年より展開し始めた。それはまさにスズキ版レクサスのような存在と考えればよい。マルチスズキよりもワンランク上のセグメントを取り扱い、「S-CROSS」(日本名「SX4 S-CROSS」)とバレーノ、シアズ、イグニスが現在のラインナップだ。このうちバレーノはインド生産モデルそのものが日本市場へも導入されている。
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