生命保険業界が「顧客本位」とはいえない理由

金融庁長官の懸念を真剣に受け止めるべきだ

不安が募った状態で契約に関する正しい判断をするのは難しい(撮影:今井康一)

保険業界にとって「顧客本位」とは何か――。これは4月7日、日本証券アナリスト協会主催「第8回国際セミナー」での森信親金融庁長官の基調講演の内容を確認して感じたことです(全文をネットでも閲覧可能)。筆者は、森長官の次の言葉を重く受け止めました。

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「正しい金融知識を持った顧客には売りづらい商品を作って一般顧客に売るビジネス、手数料獲得が優先され顧客の利益が軽視される結果、顧客の資産を増やすことができないビジネスは、そもそも社会的に続ける価値があるものですか?」

顧客本位の業務運営が行われていない実情に対する直言であり、保険業界にも、ほぼそのまま通用する指摘だと感じたからです。そこで、筆者もあらためて「保険業界における顧客本位とは?」と自問してみたところ、以下、5項目が浮かびました。

保険業界における顧客本位とは?

1 保険会社の人が愛用する「団体保険」を一般向けの主力商品にする

保険に明るい保険会社で働く人たちは、社内で案内されている「団体保険」を愛用しています。死亡・医療・長期所得補償などの目的別に、一定期間の保障があり、特約などはほとんど付加されていないシンプルな保険です。

営業担当者や代理店による対面販売が行われておらず、販売手数料などの経費が抑えられるせいか、保険料も格安です。一般向けに販売されている保険より、断然、わかりやすく安いのです。

農家や飲食店の人が顧客に自分では食べない食品を提供しているようなもの?と想像してしまいます。保険会社の人たちが「入っている保険」と「売っている保険」は同じであるほうが、顧客も安心でしょう。

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