生命保険業界が「顧客本位」とはいえない理由 金融庁長官の懸念を真剣に受け止めるべきだ

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4 経費を合理化する

たとえば、首都圏に住む人が、都心の一等地に保険会社が入居しているビルがあることについて、「保険会社は儲かるんでしょうね」と話すのはよくあることです。

筆者が興味深く思うのは、成功しているビジネスモデルへの敬意が、あまり感じられないことです。経費の使いすぎが疑われているのだと思います。

海外の保険会社での勤務が長かった人によると、保険の価格競争が進んでいるアメリカでは、収益を生まない事務部門は、高い経費がかかる都市ではなく地方に置くことが一般的だそうです。

事務部門の所在地は一例にすぎません。頻繁に目にするテレビCMから「広告宣伝費はどれくらい使われているのか? 宣伝効果によってもたらされたおカネは、十分顧客に還元されているのか?」という質問を媒体関係者から受けることもあります。

顧客本位の「度合い」が問われているのです。そこで考えたのが、5番目の項目です。

経営の中身をどこまで公開しているか

5 保険料の「還元率」を透明化する

保険会社や商品の「顧客本位度」は、保険料から死亡保険金や入院給付金として顧客に還元されるおカネの割合(以下、「還元率」と呼びます)でわかると思います。

たとえば、ライフネット生命は、保険料に見込みで含まれる保険会社の運営費の割合(付加保険料率)を商品別に開示しています。「保険料(100%)-付加保険料率=還元率」とすると、同社の場合、80~70%程度と見ることができます。この還元率が立派だとは感じませんが、情報が開示されている点は顧客本位であると思います。

同社の開示情報から、他社の「医療保険」や「がん保険」などの還元率を推計すると、40~70%くらいです。「死亡保険」では30%程度にとどまるものもあるのです。

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