「企業努力」による保険料の引き下げも必要だ 「11年ぶり保険料改定」に感じる疑問

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各社の事務部門が都心の一等地などにあることも疑問視されていいのでは?(撮影:梅谷 秀司)

保険料改定の理由は、外部要因ばかり?

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「低金利と長寿化……外部要因ばかりでいいのだろうか」――。”保険料改定”に関するニュースが次々に報じられる中で、筆者が改定の理由について感じていることです。

まず話題になっている保険料改定について概説しておきましょう。3月31日、時事通信が死亡保険の保険料が来年の4月から引き下げられる動きがあることを報じました(死亡保険料、来年4月下げへ=長寿化で11年ぶり算出根拠改定-生保各社)。

生命保険各社が加盟している公益社団法人「日本アクチュアリー会」が、死亡保険の保険料の算出根拠となっている「標準生命表」の見直し案を発表したからです。見直し案では、長寿化を反映し死亡率が下がっているため、関連商品で値下げが可能になるというわけです。

翌4月1日には、TBS系(JNN)が「厳しい新年度、食品・保険料など値上げ続々」というニュースの中で、生命保険各社が、日銀のマイナス金利政策で資金の運用が難しくなっているため、貯蓄性商品の保険料を2%から30%程度値上げすることを伝えました。

死亡率が下がると死亡保険の保険料が下がり、運用難で貯蓄商品の保険料が上がるのは、一般の方にもわかりやすい理屈だろうと思います。併せて、長寿化が進むと、老後も保障が続く「医療保険」や「がん保険」などで、保険料の値上げが検討される、というのも難しい話ではないでしょう。

ただ、筆者は「企業努力」による改定はなされなくていいのだろうかと、疑問に思います。現行商品の保険料は、保険会社にとって、かなり余裕がある設定になっているように感じるからです。

表は、金融庁のホームページにあった「主要生命保険会社の平成28年3月期決算の概要」から「保険料等収入」と「基礎利益」の数字を引いたものです。

主要16社の集計

  2014年3月期 2015年3月期 2016年3月期
保険料等収入 29兆5016億円 30兆6884億円 30兆5686億円
基礎利益 3兆2902億円 3兆7329億円 3兆2408億円
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