くら寿司の「敗訴」に見える法廷闘争の逆効果 かえって「悪目立ち」してしまうこともある
くら寿司はスマホなどで利用できる事前予約システムや、タッチパネルを使った注文・精算システムなどのIT化とともに、特徴のある「フェア+サイドメニュー」を打ち出し、成長を続けています。休日などピーク時には1時間以上の待ち時間が発生するのも珍しくない人気店です。業績も好調で2016年度の決算でも過去最高益を更新し、営業利益率ではむしろあきんどスシローを上回っています。今後、業界首位の座を奪取するためには、多額の広告費をかけるだけでなく、「多額の裁判費用を払ってもネット上での悪評は消し去りたい」、これがくら寿司の本音だったのでしょう。
くら寿司は4月14日時点で「現時点では裁判所からの正式な文書が届いておらず、(中略)全文書を確認したのち適切に対応してまいります」(発表資料より)としています。地裁の判決に対しては2週間以内に高裁へ控訴できますので、くら寿司が「負けられない戦い」として控訴する可能性はあります。ただ、同社関係者曰(いわ)く「全社的に取り組んでいたものでもなく、臨戦態勢で臨んでいるものでもない。慎重に状況を見守っている」という話もあり、これ以上、事を荒立てないシナリオもありえます。
くら寿司の社内でも「訴訟するべきかどうかの議論があったが、ネット上の悪評に対する問い合わせが増えていたので、それに対してしっかりと答えておくべきだと判断した。仕方がないというスタンスとして訴訟に踏み切った」(関係者)という話もあったようです。
かえって「悪目立ち」してしまう
一般論として、裁判を起こしても判決で負けてしまえば、それまでかけた時間や費用がムダになってしまうだけでなく、事実が明るみに出ます。敗訴がメディアを通じて大きく報じられることによって、中身を読まず見出しだけを見て反応する読者の誤解も含めて、かえって企業のブランドイメージを損ねてしまう危険性すらあります。成長している企業、収益性の高い企業は紛争を解決する手段や自社の権利を守る手段として裁判を多用していません。裁判は、かえって「悪目立ち」してしまうこともありえる策なのです。
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