くら寿司の「敗訴」に見える法廷闘争の逆効果

かえって「悪目立ち」してしまうこともある

そして、今回の判決は、

・本件書き込みがくら寿司の社会的評価を低下させたとはいいがたいこと

・くら寿司は4大添加物(化学調味料・人工甘味料・合成着色料・人工保存料)以外の添加物の使用の有無はホームページなどで表示しておらず、書き込みは重要な部分で真実であること

・「イカサマくさい」という表現は上品とは言えないが、意見・論評の範囲を超えた表現とはいえないこと

など複数の理由から、本件書き込みはくら寿司の名誉を毀損する違法なものではないと結論づけたのです。

口コミの影響力は大きい

一般的に裁判には多額の費用と時間がかかります。くら寿司は、なぜそこまでして、このような裁判を起こしたのでしょうか。

かつて、インターネットが普及する以前は、大企業が多額の広告費をかけてテレビコマーシャルや新聞広告を打てば売り上げが伸びました。資本力がない企業や、消費者が情報を発信する手段がなかったからです。

しかし、インターネットが普及した現在においては、誰もがSNSや口コミサイト、掲示板などを利用し、全世界に向けて情報を発信できるようになりました。このような変化に伴って、消費者は、作り手が「いいよ」と宣伝するものだけではなく、実際に購入した消費者が「いいね」と口コミするものも評価の対象に加えるようになったのです。

ニールセンが2015年9月に発表した「広告信頼度グローバル調査」によれば、友人や家族のおすすめはテレビやラジオの広告よりも信頼性が高く、インターネット上の消費者の口コミの信頼性も上昇の傾向にあります。

データは5年前となりますが、NTTレゾナントが2012年に実施した「購買行動におけるクチコミの影響」に関する調査によれば、商品やサービスの選定時に口コミの影響を受ける人は8割に達し、しかも良い口コミより悪い口コミのほうが影響は大きいという結果が出ているのです。

この傾向は今も変わっておらず、その後の爆発的なスマホの普及を考えると、もっと顕著になっているでしょう。飲食店が食べログの影響力を無視できなくなったのは象徴例。それだけでなく、家電、自動車、書籍、病院など、多くの業態でネット上の口コミが売り上げに大きな影響を与えるようになったのです。

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