カプコン、開発者「2500人計画」を進めるワケ 人材を増やして、有力タイトルの量産を狙う
人員増強と並行して、設備面での開発体制も整えた。大阪本社に隣接する開発棟を2棟新設。既存施設への投資も合わせ、2016年までに総工費100億円を投じた。
カメラ撮影によって立体モデルを作る「3Dスキャンスタジオ」や効果音の作成・録音を行う「フォーリースタジオ」を備え、人物の動きを録画する「モーションキャプチャースタジオ」には2名のアクターが常駐。これは業界でも珍しい体制だ。
大幅な設備増強を進めたのは、人材活用の側面と同時に大阪を拠点とする企業ゆえの事情もある。
国内のゲームメーカーの大多数は東京に拠点があり、近郊には東映や東宝などの映画スタジオや、専門の外注スタジオも多く、必ずしも自社ですべての設備を持つ必要がない。カプコンが大阪で他社に負けない質を求めるためには、大型投資が不可欠だった。
次代を担うリーダー層の社員を育てられるか
人材と設備を大幅に増強した今、課題となるのは、ゲーム開発全体の指揮を執る「リーダー層」をいかに育てるかだろう。どれだけ人員を拡大しても現場のエンジニアを増やしただけでは、固定費は増えるばかりで、タイトル数の増加にはつながらない。タイトルを増やし、業績を向上させるには、プロデューサーやディレクターなどリーダー層の人材が必要なのだ。
2012年4月に入社した「大人数採用1期生」はすでに入社から5年が経つ。中堅社員として独り立ちしているものの、リーダー層へと成長していくのはこれからだ。
信山執行役員は「家庭用ゲーム機では開発が長期化しており、リーダー層に必要なことを一とおり経験させようとすると10年かかる。これをどうにかして短縮しなければならない」と話す。この課題に対しては、スマホゲームなど短期間で開発するプロジェクトに若手を加えることなどで、育成期間の短縮を図る考えだ。
ゲームソフト会社にとって、開発者こそが価値を生み出す源泉である。大量に採用した社員を、大型タイトルを背負う人材に育てきることができるかが、カプコンの今後の成長を決めるカギとなりそうだ。
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