英国で高視聴率たたき出す「田舎番組」の魔力 長寿番組「カントリーファイル」を支えるのは

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だが、注目されれば批判が集まるのも世の常だ。2015年にタブロイド紙のデーリー・メールは「カントリーファイル」について、田舎暮らしを「うわべだけ飾り立てて感傷的に描き、きれいごとにしている」という作家クリストファー・ブッカーの批評を掲載した。ブッカーは同番組は「強力な環境ロビー団体を運営している『環境保護派』や動物の権利派に同調し」ているとも書いた。

番組のエグゼクティブプロデューサーのビル・ライアンズはブッカーの主張を一蹴する。だが、番組の放映時間を変更した時に発生した問題については深入りするのを避けた。当時はまだ、ライアンズは現在の役職には就いていなかった。

2011年に裁判所は、BBCが「カントリーファイル」の進行役の1人だったミリアム・オライリーを年齢を理由に降板させたとして、BBCに女性差別があったことを認める判断を下したのだ。

若者たちが告白する「人には言いづらい習慣」

「チャールストン・ハウス」の庭師(写真:Andrew Testa/The New York Times)

ライアンズは、オンデマンドでの視聴が広がっているこの時代に「カントリーファイル」は幅広い層から支持される国民の定番番組となっていると誇らしげだ。若者たちもツイッターで「『カントリーファイル』を見るという、人には言いづらい習慣」を告白していると彼は言う。

英国での人気を受けて「カントリーファイル」は米国でも有料テレビ局での放映が始まっている。それでもライアンズは、「カントリーファイル」はとことん英国的な番組だと思っている。「北米のことも私はよく知っているが、確かに風景はすばらしい。だが(同じ風景が)ひたすら続くんだ。中西部やテキサス州で車を走らせているときは特にそうだ」と彼は言う。

「英国ならどこでも、数キロ行けばはっきりわかるほど(風景が)変わる。ときには数百メートルごとに」

また英国人は、愛国心をあからさまに示すのが苦手だと彼は言う。「だが私たちは、風景のように英国を英国たらしめているものを静かに誇ることは得意だ」

テレビ司会者としての長年の経験にもかかわらず(いや、だからこそかもしれないが)クレーブンも同じ意見だ。「いつも言っているんだが、田舎の土地こそこの番組の主役だ」

彼は言った。「そんなことがあっては困るが、私の語りにあまり興味が持てなくても、私の後ろにはいつも美しい風景が映っている」。

(執筆:Stephen Castle記者、翻訳:村井裕美)
(c) 2017 New York Times News Service

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